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ガス脱炭素化の切り札「合成メタン」、普及のカギはCO2算定ルール整備

ガス脱炭素化の切り札「合成メタン」、普及のカギはCO2算定ルール整備

4月に開催された主要7カ国(G7)の気候・エネルギー・環境相会合では、カーボンリサイクル燃料の重要性が明記された

水素と二酸化炭素(CO2)を化学反応させ、都市ガスの主成分であるメタンを合成するメタネーション。こうして作られた合成メタン(eメタン)は、ガスの脱炭素化の切り札として革新的な技術開発や大規模な海外プロジェクトが繰り広げられる一方、普及に向けて業界を挙げての政府に対する働きかけも活発化している。脱炭素燃料としての位置付けやCO2削減効果を裏付けるルール整備を伴わなければ、早期の産業利用につながらないからだ。

6月1日。自民党の有志議員がまとめたeメタンの社会実装に向けた提言。既存の天然ガスとの価格差に着目した商用化支援の必要性と並び、国内外でのeメタン利用時のCO2算定ルールや環境価値の明確化を政府に求める内容で、都市ガス業界のこれまでの主張が反映されている。

eメタンは工場などから出るCO2を回収、再利用して製造するため、使用時に排出するCO2を相殺できるとみなされる。既存の燃料インフラを利用できる利点もある。

一方で、物理的には燃焼時にCO2を排出するため、誰がどの段階で、どう計上するかが論点の一つ。関係省庁でのこれまでの議論では、特定の事業者に自らの温室効果ガスの排出量を算定し国に報告することを義務付ける制度上は、eメタン利用者側のCO2排出量については「ゼロ」とする方向性が示された。

日本ガス協会がフランスガス協会と協力の覚書を締結するなど、業界を挙げてeメタンの普及に取り組んでいる(左が日本ガス協会の本荘武宏会長)

他方、原料としてのCO2を提供する工場や発電所側のみにCO2排出が計上されれば不公平感は否めない。業界としては利用のインセンティブが働く制度設計が実現するか議論の行方を注視する。

海外の大規模プラントで製造されたeメタンを国内利用した際のCO2削減ルールも焦点で、業界として国際的なルール整備を政府に求めるとともに、海外のガス業界との連携も強化。日本ガス協会はフランスガス協会と協力覚書を締結した。

政府は2030年の合成メタンの都市ガス導管への導入比率を1%以上との目標を打ち出す。その実現には個別プロジェクトや技術開発に対する支援にとどまらず、利用環境の整備もカギとなる。

日刊工業新聞 2023年06月07日

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