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京セラの特許が評価されるわけ

守るも攻めるも知財が命
 京セラは海外での特許取得活動を強化するため、4月に欧州に知財部門の拠点を新設する。海外拠点は米国、中国に次ぎ3カ所目。欧州に主要メーカーが集まる車載事業の強化を知財面からサポートする狙いもある。同社の保有特許数は国内で約1万件、海外で約4200件。売上高では海外比率が半分を超えるため、特許数でも国内外で同水準を目指し、海外比率を年率10%程度ずつ引き上げていきたい考え。

 欧州拠点はドイツ・エスリンゲンの現地子会社内に置き、法務知的財産本部の日本人社員を派遣する。欧州特許庁のある独ミュンヘンに近いことから選んだ。欧州では5年前に買収した機械工具メーカーなどによる特許出願もあり、現地でのサポートがより必要となっていた。

 同社では海外の特許事務所との意思疎通を目的に、グローバルパートナーミーティングを3年前から開催している。この会合による成果を踏まえ、特許出願時に発明内容を説明する明細書の記述方針をガイドラインにまとめた。国ごとの実情も考慮し、海外での特許出願を効率化する。

 京セラの国内での特許出願は年間1500件程度。うち海外出願の比率は20―30%にとどまる。大手電機などに比べると低い水準にあり、その引き上げが課題となっている。
日刊工業新聞2016年2月23日1面
尾本憲由
尾本憲由 Omoto Noriyoshi 大阪支社編集局経済部
アップルと日本の中小企業の争いを例に引くまでもなく、もはや知財戦略は経営の根幹。京セラはトムソン・ロイターが選ぶ、特許に強い世界のトップ100社に選ばれ、太陽電池で特許侵害訴訟を起こすなど攻めの実績もある。ただ特許の数を競うだけが知財戦略ではない。あくまで事業で稼ぐメーカーとして、どのように知財戦略を効率化できるのかが肝。

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