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半導体装置メーカーに訴求、OKI電線が耐高熱・高圧蒸気のFPC開発

半導体装置メーカーに訴求、OKI電線が耐高熱・高圧蒸気のFPC開発

耐高圧蒸気FPC(左)と耐高熱FPC

OKI傘下のOKI電線(川崎市中原区、山口英雄社長)は、高温・高圧蒸気環境下で使用できるフレキシブルプリント基板(FPC)2種類を開発した。高熱処理や高圧蒸気による滅菌処理が必要な機器での使用を想定。6月に発売し、半導体製造装置や医療機器などのメーカーに訴求する。カスタマイズ(個別対応)設計のため価格は個別見積もり。国内を中心に販売し、2023年度に1億円以上の売り上げを目指す。

耐環境FPCの新商品として「耐高熱FPC」と「耐高圧蒸気FPC」を開発した。耐高熱FPCは、銅箔(はく)に独自の表面処理を施すことで絶縁層との密着性を高めた。200度Cの環境で1000時間の高熱処理を行った後でも、絶縁層の密着性を維持し、絶縁抵抗などの電気特性についても十分に規格を満たす。

耐高圧蒸気FPCは、132度Cの環境において、0・2メガパスカル(メガは100万)の圧力を15分間加える高圧蒸気処理を250回繰り返しても、絶縁層がはがれることなく密着を維持し、電気特性も規格を十分満足する性能を実現した。

これまで使用環境の制約でFPCを採用できなかった用途や機器に対しても、FPCの特徴を生かした配線が可能となる。利用するメーカーは機器設計の自由度が高まり、さらなる高機能化につながる。

昨今、200度C程度の高熱処理を伴う半導体製造装置や、高圧蒸気による滅菌処理が必要な歯科治療に使われるハンドピースなどの医療器具でFPCの採用ニーズが高まっている。従来のFPCは80度C以上の高温や、そこに湿度が加わった高圧蒸気環境にさらされると基板回路を保護する絶縁層の接着部が劣化し、絶縁層剝離不良が発生してしまう問題があった。


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日刊工業新聞 2023年05月29日

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