トヨタから受注、自動車製造を脱炭素化する「熱処理炉向け水素バーナー」の実力
中外炉工業はトヨタ自動車から熱処理炉向けの水素バーナー1基を受注した。トヨタの国内工場におけるエンジン部品の浸炭工程で稼働を始めた。トヨタは2035年までに生産工程における二酸化炭素(CO2)の排出量をゼロにする目標を掲げる。自動車の製造工程での水素利用を広げ、脱炭素対応を加速する狙いとみられる。
トヨタの素形材熱処理炉の従来バーナーを、中外炉工業が製造する間接加熱式のW型ラジアントチューブ式水素バーナーに取り換えた。トヨタの工場内の水素供給システムを活用する。
中外炉工業はこれまでに、燃焼時にCO2を排出しないカーボンフリーバーナーをトヨタと共同開発し、営業活動を進めてきた。水素バーナーの安全対策として窒素を供給する機構を備え、吹管の中を火炎がガス供給側へ戻る「逆火」リスクを回避する。
水素は燃焼してもCO2を排出せず、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の達成に向けた次世代燃料として活用が期待される。政府は水素エネルギーの導入を加速させるため、今後15年間で官民合わせて15兆円規模の投資を目指す方針だ。
【関連記事】 トヨタの世界戦略を支える強力な「日独連合企業」
日刊工業新聞 2023年05月25日