主要8社中3社は減益予想…機械・工具商社は設備投資停滞で予断許さず
機械・工具商社業界の市況はコロナ禍を脱しても、予断を許さない状況が続く。主要商社8社が公表した2024年3月期連結業績は1社を除き増収だが、営業損益は山善、日伝、椿本興業の3社が減益を予想する。ウクライナ情勢の長期化や原料高・半導体不足の影響で設備投資は停滞気味。中でも自動車・半導体業界の設備投資需要が不透明で、各社は様子をうかがう。
山善は増収営業減益予想で、過去最高の売上高を目指す。岸田貢司社長は「中計最終年度となる25年度の売上高6000億円達成に向け、成長投資を加速する」と強調。投資先行で一時的に収益が悪化する。海外市場では「インド拠点を伸ばし、不透明感を払拭したい」と打開策を語る。
ユアサ商事は増収営業増益の見通しだ。ただ工業機械部門の4月の国内受注は、前年同月比19%減と調整局面が続く。田村博之社長は、補助金による効果が落ち着き「しばらくこの水準で推移する」との見方を示す。工作機械の販売を維持しつつロボット中心に省力化ビジネスを増やし「補助金があまり多くないこの時期を乗り切りたい」とする。
増収営業減益を見込む日伝、減収営業減益予想の椿本興業は、自動車や半導体の設備投資動向を24年3月期は慎重に見る。一方で「(24年3月期は)人材に投資する」(椿本興業の香田昌司社長)と、需要回復に備え組織強化に力を入れるところもある。23年3月期は7社が増収で、営業利益は6社が増益と堅調に推移した。
日刊工業新聞2023年5月22日