ホンダ系部品メーカーの通期予想…8社中6社が営業益改善も、残る不安要素
ホンダ系部品メーカー主要8社の2024年3月期連結業績予想は、自動車生産の回復を背景に、ジーテクトと八千代工業を除く6社が営業増益や営業損益の黒字転換を見込む。ただ、原材料やエネルギーの高騰など不安要素は残る。厳しい経営環境下で業績を成長軌道に乗せるため、電気自動車(EV)向けの生産ライン稼働やホンダ以外の受注拡大などの動きが活発化している。
24年3月期は半導体不足の状況改善などを踏まえ、自動車メーカー各社が生産回復を見込む。テイ・エステックは米国を中心とした受注台数の増加のほか、工場自動化による収益改善により増収増益を計画する。
エイチワンは23年3月期連結決算で中国の減産が大きく影響したが、24年3月期は同国や北米の生産回復の効果により増収・黒字転換を見込む。
一方、ジーテクトは得意先の生産回復により量産事業で増収を見込みつつも、機種開発がはざまの時期であることから型設備や試作など非量産分野の売上高が減るとみて、連結では減収減益を見込む。
エフテックはトヨタ自動車や米テスラなどとの取引比率が増加する見通しで、福田祐一社長は「競争力向上と稼ぐ力の強化につながる。引き続きビジネス拡大に取り組む」と意気込む。エフテックの24年3月期連結業績予想は、北米を中心とした新規受注品の量産本格化や主要取引先の生産回復により、営業利益で前期比2・7倍を目指す。
収益増に向けた設備投資も進む。武蔵精密工業はディファレンシャルギア(デフ、差動装置)などの電動化部品の生産拡大に対応するため、23年3月に中国で4カ所目となる工場を新設した。テイ・エステックは「鈴鹿工場(三重県鈴鹿市)で作るフロントフレームは夏前には全自動になる予定」(保田真成社長)で、自動化による高効率な生産体制構築を進める。
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