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商船三井が「世界初」、風で水素つかまえ船の推進力に

商船三井が「世界初」、風で水素つかまえ船の推進力に

実証実験に使うヨット「ウインズ丸」

風で水素をつかまえて走れ―。商船三井は16日、水素キャリアのメチルシクロヘキサン(MCH)から水素を取り出して推進力に使うヨット「ウインズ丸」の航行を、長崎県佐世保市で実証実験した。船上で化学反応によりMCHから水素を取り出して使う取り組みは「世界初」(同社)という。同市の大村湾で6月までをめどに実験する。

ゼロエミッション船実現に向けたプロジェクトの一環。風を受けて進むことで海中の発電タービンを回し、触媒を介してMCHから水素を生成する。実証では、その水素を用いて燃料電池で発電し電動プロペラで進んだ。

MCHは常温常圧の液体で効率よく安全に水素を貯蔵できる。これまでキャリアに水素吸蔵合金を用いていた。

ヨットの全長は約12メートル。西日本流体技研(長崎県佐世保市)がタービン設計、スマートデザイン(同)が船の設計などで協力する。

商船三井は2025年以降、複数の帆を備えた60―70メートル級の水素生産船を建造予定。

日刊工業新聞 2023年05月17日

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