永守・日本電産はどこまで成長するのか!?「42年目の1兆円」はスタート台

「年内にM&Aを2、3件は決めたい。大物がまとまれば2兆円の計画も数年前倒し」(永守社長)

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「社長レースはまだ分からない。プロパーにも社長候補はいる」
 日本電産が22日発表した2015年3月期連結決算(米国会計基準)は、売上高が前期比17・5%増の1兆283億円と、初めて1兆円を超えた。営業利益も初の1000億円超え。新分野と位置づける車載用や家電・商業・産業用がけん引し、永守重信会長兼社長は「着実にビジネスポートフォリオが転換を遂げている」と強調した。16年3月期も好調な米国経済や国内経済の回復などで増収増益を予想。新分野の成長が続き、売上高は同11・8%増の1兆1500億円、営業利益は同16・9%増の1300億円を予想する。

 主力の「精密小型モータ」が同9・8%増の3979億円と堅調に推移。「車載及び家電・商業・産業用」は売上高が同33・2%増の4600億円と、初めて精密小型モータを逆転した。特にM&A(合併・買収)を積極化している車載が同65・3%増と拡大。営業利益は精密小型モーターが同11・2%増の630億円と、車載及び家電・商業・産業用の同65・5%増の367億円を上回ったが、永守会長は「2、3年内に逆転する」と予想した。

 また同日、片山幹雄副会長執行役員が6月23日付で4人目となる代表取締役に就任する人事も発表。永守会長は「当社の成長に貢献できる力を十分に持ち合わせている」と期待を寄せた。

 【2020年度に売上高2兆円】
 日本電産は創業から42年で1兆円の大台を達成した。「もう少し早く達成したかった。決して達成感などない。悲願のとか、念願のとか言われるのは迷惑だ」と、永守重信会長兼社長は言い放つ。同社にとって1兆円はゴールではなく、グローバル市場で戦っていくために最低限必要な規模、つまりスタート台に立ったということを示すにすぎないからだ。

 これまで積極的なM&A(合併・買収)で成長を遂げてきた同社だが、大台達成によって成長への投資はむしろ加速しそうだ。次に見据えるのは2020年度の売上高2兆円。特に成長のエンジンとなる車載事業では、独ボッシュなどが君臨する市場で存在感を高めるためにも、さらなる規模の拡大が欠かせない。

 永守会長兼社長は「年内にM&Aを2、3件は決めたい。大物がまとまれば、売上高2兆円の計画も数年前倒しとなる」と、アクセルをゆるめる気配はない。

 ひたすら成長を追求する同社だが、市場環境も追い風が吹いている。自動車の電動化などモーターの新たな応用範囲は広がる一方で、中長期的には「人型なら600個搭載する」というロボット市場も控える。家電向けや産業機器用でもモーターの高効率化への要求は強い。「世界の電力消費のうちモーターが53%も占める。技術革新はまだまだ起こりモーターは産業の米になる」と、モーター市場の成長と進化に期待をかける。

 成長への投資はM&Aだけではない。インドでは20年までに1000億円を投じて生産拠点を整備するほか、ソフトウエア開発会社の設立準備も大詰めを迎えている。またメキシコやブラジル、ポーランドでの設備増強など、グローバル生産体制の強化に余念がない。
 
 【片山幹雄氏(元シャープ社長)に代表権】
 日本電産の成長へのボトルネックとなるのは人材の確保だ。特にポスト永守となり得る経営層の拡充が喫緊の課題となる。同社は14年10月1日付で会長職を新設し、永守社長が兼務した。そのため社長職を後継に託すのは時間の問題だろう。

 22日には昨秋招聘(しょうへい)した元シャープ社長の片山幹雄副会長が6月23日付で代表取締役に就任する人事も発表。やはり外部招聘の呉文精副社長執行役員や、車載事業を統括する早舩一弥専務執行役員などとともに次期社長への有力候補となっている。

 永守会長は「社長レースはまだ分からない。プロパーにも社長候補はいる。40代もどんどん役員にしていかないといけない」と、後継育成への動きも加速している。

日刊工業新聞2015年04月23日 1/3面

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

永守さんの会見はとにかく面白い。記者やアナリストからの質問にも「あんた、もうちょっと勉強してから聞きなさい」と切り返すこともしばしば。日本電産を取り巻く事業環境は、自分が一番知っているという自負だろう。一方でこれだけ外部から人材を招聘し成長を実現してきたのも、「餅は餅屋」をしっかりわきまえているから。片山氏の処遇にはシャープ関係者は複雑な思いもあるだろうが、中核事業にとってこれからいかに「IoT」領域が重要か、というエンジニアとしての力量を買ってのものだろう。なので片山氏は次期社長候補の本命ではないと思う。

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