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鴻海からの出資協議、24日にも結論。高橋社長の会見を改めて動画で振り返る

キーワードは「シャープのDNA」「雇用」「信頼関係」「私は辞めない」
鴻海からの出資協議、24日にも結論。高橋社長の会見を改めて動画で振り返る

会見後、報道陣に取り囲まれる高橋社長


 シャープは台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業からの出資を受け入れる再建案について、高橋興三社長などの経営幹部で20日に会議を開き、協議した。事前に台湾へ派遣し、鴻海側と実務協議を行った交渉部隊が、その内容を社外取締役らにも報告。産業革新機構が提示した支援案と比較した。結論をまだ出しておらず、24日か25日の取締役会で決定する。

 シャープの求める出資受け入れ要件は液晶以外の主力事業の一体運営や雇用維持などで、鴻海とこれらについて詰めの作業を行った。鴻海との交渉を優先しているが、革新機構案支持の取締役もいる。シャープ幹部は「金額はどちらも良い」と評価する。

 鴻海案は7000億円規模の資金を投じ、シャープの要件を受け入れ、主力銀行に金融支援を求めない。一方、革新機構案は主要事業を他社と統合する業界再編が前提。約3000億円出資と追加融資枠の設定、主力行への実質債権放棄要請などで対抗する。

 多額の有利子負債を抱えるシャープは銀行管理下にあり、主力2行の思惑が大きく影響する。みずほ銀行は金融負担が避けられ、シャープ主要取引先の米アップルの意向も踏まえた鴻海案を支持。三菱東京UFJ銀行内は意見が割れており、電機業界の再編がシャープ以外の電機メーカーの債権保全につながると、革新機構案を支持する幹部もいる。

液晶ライン一部を停止


 シャープは8月末に天理工場(奈良県天理市)の液晶生産を止め、10月をめどに三重工場(三重県多気町)の液晶生産ラインの一部も停止する。亀山工場(同亀山市)と、三重工場のほかの生産ラインに集約し、低迷する稼働率を改善する。

 天理工場での研究開発は継続するが、古い生産設備で自社携帯端末向けなどの液晶生産を止める。三重工場は第3工場の二つの生産ラインのうち、スマホ向けの一つを止める。
日刊工業新聞2016年2月22日3面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
現段階で鴻海が有利なのは間違いないが、交渉ごとなので最後まで何が起こるか分からない。2月4日に行われたシャープの高橋興三社長の会見。1時間以上の会見(動画は約8分)には自分も出席したが、交渉のキーワードが語れている。「4つのカンパニーで構成される今のままのシャープを残す」こと。「雇用を守る」こと。そして「信頼関係」。その後、鴻海の郭台銘会長とのやりとりで、シャープ側に「?」と思わす場面もあったようだが、契約が守られなかった場合、1000億円の違約金を支払う提案もあったと言われている。それが「信頼」の担保か。個人的に気になる点は、支援後も高橋社長が続投の意思を明確に示していること(本心か分からないが)。また鴻海になった場合、中期的な問題は“ポスト・郭台銘”。一代でここまで会社を急成長させたのもトップダウンの経営手法と彼のキャラクターがあってこそ。巨大だけにガバナンスのリスクも大きい。

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