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総面積2500㎡…広島大学が次世代半導体で共同研究新拠点

総面積2500㎡…広島大学が次世代半導体で共同研究新拠点

半導体関連の研究に必要なクリーンルームのイメージ(広島大提供)

広島大学は半導体・超物質研究を核とする産学官共同研究拠点を新設する。東広島キャンパス(広島県東広島市)内に建設し、2024年3月に完成予定。スタートアップを含め企業と連携して半導体や超物質の基礎研究を進め、社会実装までの一連を担える仕組みを確立する。共同で使えるクリーンルームや実験室などを設置する。神戸大学や企業と連携し、次世代半導体の基盤技術の開発や社会実装を加速させる。

新設する拠点の総面積は約2500平方メートルで5階建て。1階に実験室やクリーンルームなどを整備。2階には事務オフィスや交流スペースを置き、3、4階に共同研究のオープンラボを、5階に特許が関連するなどのセキュリティーの高い研究を進めるクローズラボをそれぞれ設置する。

老朽化が進んでいたスーパークリーンルーム棟は、制御系をスマート化し、省エネ性能を高めて、稼働率の向上を図る。これにより産業界からの利用ニーズを高める。

広島大は次世代パワー半導体の素材であるシリコンカーバイドに着目し、宇宙空間などの極限下で安定的に作動するデバイスの研究を進めている。また自然界に存在する物質に類似した人工物質の研究を通して、高集積回路などの半導体関連の研究や新しい原理の量子コンピューターの開発への応用を目指している。

これまでに文部科学省の革新的半導体集積回路の創生を目指した拠点形成事業に採択。また経済産業省の産学融合拠点創出事業に選ばれ、新半導体交流施設が竣工した。

4月には広島大を核とした中国地域の半導体関連企業などで構成する「せとうち半導体共創コンソーシアム」が本格始動し、半導体に関する中核人材の育成や産学連携の強化が進められている。

新たに産学官の共同研究拠点が設置されることで、経済安全保障などの観点から世界的に重要性が増す半導体研究の促進が期待できる。


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日刊工業新聞 2023年05月10日

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