「破たん」劇的ビフォーアフター!JALは変わったか(14)山形空港モデルを広げろ

自治体とタッグ、羽田乗り継ぎの訪日外国人を官民一体で誘致

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 山形空港は24日に2014年度の利用者が20万人を超えた。20万人突破は7年ぶり。その最大の要因は日本航空(JAL)が運航する羽田―山形便の増便だ。増便にあたってはJALと山形県、山形空港ビルなどが連携し、国土交通省が実施した「羽田発着枠政策コンテスト」に参加。発着枠を獲得して、それまで1往復だった同路線を14年3月末から2往復に増やした。JALと山形県は運賃設定や市町村を含めた助成キャン ペーンなどのほか、訪日外国人の誘客などでも連携。利用率向上のため、官民一体で取り組んでいる。

 2月のある日、山形空港にシンガポールの団体ツアーが降り立った。山形にシンガポールから団体ツアーが訪れるのは、東日本大震災以降初めて。山形県企画振興部交通政策課長の墳崎正俊は「JALのシンガポール支店に旅行会社を紹介してもらった」と、これも両者の連携で実現した成果。山形県には4月までに五つの団体ツアーの来訪が決まっている。

 羽田―山形線の増便では、山形県などで構成する「山形空港利用拡大推進協議会」とJALで「路線収支共有制度」を導入した。これは同路線の収支を、黒字でも赤字でもJALと利拡協で半分ずつ負担するもの。収支の4分の1を担う山形空港ビル専務の佐野篤は「地元をあげて取り組んでいる」と、こうした施策をアピールする。

 佐野は13年にJALから出向した。JALではグループの日本トランスオーシャン航空やJALパックで取締役などを務め、航空だけでなく旅行にも精通する。その佐野が今、力を入れているのが、山形県の観光素材の掘り起こし。県内20の温泉地から魅力的なところをピックアップして首都圏に住む女性にアピールし、観光客を呼び込む考えだ。佐野は「山形県の人たちは外の人を巻き込む力が弱いので、自分がやっている」と笑う。

 羽田―山形線の2月までの搭乗率は71%。路線維持には及第点の水準だ。路線統括本部で国内路線事業本部長の西尾忠男は「自治体と新しい関係を築き、成功モデルをつくって他の自治体にも紹介して、地方創生の接着剤になりたい」と話す。山形県との取り組みはJALが目指す、新しい国内線事業のあり方の代表例だ。(敬称略)

日刊工業新聞2015年03月26日 建設・エネルギー・生活面

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高屋優理
編集局第二産業部
記者

路線は単に引けばいいものではなく、育てるもの。JALの羽田-山形線はその典型例になっています。

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