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「コンプラ違反」倒産が統計開始以来最多になった背景事情

2022年度のコンプライアンス違反による倒産件数(法的整理のみ、負債1000万円以上)が05年度の統計開始以来、最も多かった―。帝国データバンク(TDB)によると、22年度の同件数は前年度比47・1%増の300件と2年連続で増えた。コロナ禍の資金繰り支援が終了したところに物価高や人手不足、コロナ融資の返済本格化など企業の取り巻く環境が厳しさを増しているためとみている。

TDBは架空の売り上げ計上などの粉飾をはじめ過積載や産地偽装などの業法違反、所得・資産の隠蔽などの脱税といったコンプライアンス違反が判明した企業の倒産をコンプラ違反倒産と定義している。

22年度に発生したコンプラ違反倒産を業種別でみると、「サービス業」が88件で最も多く、全体の約3割を占めた。次いで「建設業」が59件で19・7%を占め、「運輸・通信業」が54件で18・0%と続いた。

違反類型別では「資金使途不正」が69件で全体の23・0%で最多だった。次いで「粉飾」が62件で20・7%で続いた。TDBによると、20年度以降はコロナ禍のゼロゼロ融資などの資金繰り支援で件数は減少に転じたものの、ここにきて再び増加。借入金の返済が厳しくなり、金融機関への追加支援を申請した際に不適切な会計が明るみになる事例が多くあったという。

22年度は倒産件数が3年ぶりに増加に転じた。TDBは「今後も厳しい経営環境の中で企業存続のためのコンプラ違反が表面化していく」とみている。


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日刊工業新聞 2023年05月04日

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