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「シリコンアイランド九州」再興なるか、熊本大学が半導体研究加速で新施設

「シリコンアイランド九州」再興なるか、熊本大学が半導体研究加速で新施設

半導体関連の研究にはクリーンルームが必要(熊本大提供)

熊本大学は半導体に関する研究を九州大学や企業と共同で促進するオープンイノベーション型研究施設を新設する。半導体の周辺技術の開発や基盤技術の高度化、実用化などに向けた研究を加速させる。総面積3050平方メートルで5階建ての施設を同大黒髪南地区に建設し、最上階にはクリーンルームを整備する。福岡県からアクセスしやすい立地を生かして共同研究を増やし、九州での半導体関連産業の活性化を進める。

熊本大は文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」に採択された。選ばれた各大学に平均約20億円を計上する予定で、同大の研究施設の新設は同事業で実施する。5月中下旬に交付され次第、設計や建設に着手する。完成予定などは未定。

熊本県では半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が新工場の建設を進める。ソニーグループ三菱電機なども大型投資を計画している。半導体関連企業は九州全体に約1000社が集積しており、大学との共同研究が加速すればシリコンアイランド九州の再興に期待できる。

熊本大は4月に「半導体・デジタル研究教育機構」を設置し、半導体に関する先端研究や人材育成の強化を目指している。これまでに東京エレクトロンやソニーグループの子会社であるソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本県菊陽町)などと半導体関連の研究を進めてきた。

今後、オープンイノベーションを一段と推進するには研究スペースが不足していた。新研究施設では参画機関である九州大学やさまざまな企業との共同研究を実施し、人材育成の促進にもつなげる。


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日刊工業新聞 2023年05月01日

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