「出資も視野」…TSMCと戦略的協業で基本合意したホンダのEV戦略
ホンダは26日、経営方針説明会を開き、半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と、中長期の半導体調達の安定化に向けた戦略的協業で基本合意したと発表した。同日会見した三部敏宏社長は「半導体の不足もあり、半導体メーカーと直接話をする必要が出てきた」と説明。技術や生産に関する情報共有を進め、協業の成果として採用する半導体を2025年から自社の車に順次搭載する方針を示した。
TSMCとは2月に基本合意した。三部社長は「出資も視野にある」と資本提携に発展する可能性を認め、TSMC以外の半導体メーカーとも安定調達のために直接交渉していることを明かした。
半導体は車の電動化やデジタル化で重要性が高まる一方、足元は一部製品の供給不足が解消していない。ホンダは30年までに世界で年200万台超の電動車を生産する目標を掲げている。TSMCなど半導体メーカーと直接交渉して半導体を安定確保し、サプライチェーン(供給網)の中で活用していく考えだ。
一方、電動車の世界展開は国内で26年までに軽自動車「N―ONE」をベースにした小型電気自動車(EV)など4車種を投入する。海外は中国で現地メーカーの攻勢があり、三部社長も「(中国メーカーは)予想以上に先を行っている。新しい価値を出さないと負けてしまう」と危機感を示す。生産では30年前後をめどに米国か日本で、次世代のEV生産に対応した専用工場を稼働し、ソフトウエア領域の開発にも注力する。内燃機関(エンジン)車で稼いだ資金を電動車に投資する事業構造を転換し、電動車だけでも収益を稼げるビジネスモデルに移行したい考えだ。
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日刊工業新聞 2023年04月27日