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世界初、キョーラクが軟質樹脂3D成形品の量産技術確立

世界初、キョーラクが軟質樹脂3D成形品の量産技術確立

キョーラクの3Dプリント成形技術でインナーパッドに仕上げた軟質樹脂

キョーラク(東京都中央区、長瀬孝充社長)は、材料に軟質樹脂を使う3Dプリント成形品の量産技術を確立した。硬度の単位で人の肌並みに軟らかいことを表す「ショアA硬度0」の軟質樹脂を使った3Dプリント成形品を、世界で初めて量産できるようになったという。金型製作などの手間がなくなり、新商品開発やモデルチェンジの時間と費用を減らせる。事業化の第1弾としてワコール向けに、インナーパッドのOEM(相手先ブランド生産)を始めた。

ショアA硬度0の軟質素材は3Dプリンターで扱いにくく、複雑な加工には向かないとされていたが、キョーラクは長年培った樹脂成形の知見で、量産に適した成形パターンを見いだした。金型を使う押し出し成形や射出成形に比べ、製造コストを抑えられる。

ワコールには乳房の手術を受けた人のため3月に発売したインナーパッド「ぷるるんメッシュパッド」をOEM供給する。熱可塑性エラストマーを材料に使い、成形品の内部構造を工夫することで従来にない材料特性を引き出す「メタマテリアル」設計技術も生かして、自然な触感と高い通気性を併せ持つ商品に仕上げた。続いて車いすや介護ベッド、スポーツ用品などへの採用を目指す。


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日刊工業新聞 2023年04月24日

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