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米国景気の依存高まる!?15年の国別輸出比率が2割に上昇

米中のシェア格差広がる。16年以降も米国向け伸びる可能性大
 日本の輸出に占める米国のシェアが高まっている。日本貿易振興機構(ジェトロ)が17日発表した2015年のドル換算での貿易統計によると、輸出に占める米国のシェアは2割に達する一方、中国のシェアは14年に比べて低下した。米国は景気回復が鮮明だが、中国は減速感が拭えない。16年以降も米国向け輸出が伸びることが予想される。

 ジェトロのまとめでは、15年の日本の輸出に占める米国のシェアは前年比1・5ポイント増の20・1%に拡大する一方、中国のシェアは同0・8ポイント減の17・5%だった。これにより米中のシェアの差は14年の0・3ポイントから15年は2・6ポイントに拡大した。

 米国は15年末に政策金利を引き上げるまで景気が回復。日本の輸出に占めるシェアはリーマン・ショック前の07年の水準に戻った。対して中国はリーマン・ショック後に4兆元(当時の為替レートで約57兆円)の景気対策を打ち、日本の輸出に占めるシェアを拡大。09年に米国を抜いて1位となったが、13年に抜き返され、近年は減少傾向にある。今後、環太平洋連携協定(TPP)が発効すれば、米国向け輸出は一段と増えることが予想される。

 ジェトロが同日発表した15年のドル換算での日中貿易統計は、輸出が同12・3%減の1427億ドル(約17兆円)、輸入が同11・3%減の1605億ドル(約19兆円)だった。財務省が発表した円換算の統計は輸出で同0・2%増、輸入で1・3%増だった。ドル換算では貿易額が目減りした。
(2016年2月18日 総合4/国際)
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
米国向けの輸出が良くなり、中国向けが悪くなる―。すごくわかりやすい構図だが、それで大丈夫なのかなと正直不安に思う。米国も景気減速の予兆も指摘され、これまでの快走を続けられるか。中国、アジア向けは景気減速で輸出量の減少は避けられないのはわかるが、その中でも量と金額を確保するような術が求められるだろう。

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