「涙の出ないタマネギ」にみるハウス食品の“不変と革新”

ハウス十論「世にあって有用な社員たるべし、また社たるべし」

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涙が出ないタマネギ。辛みがなく、新用途が広がる革新的な商品
 ハウス食品は今から約半世紀前の創業50周年を迎えた際に社是社訓「ハウス十論」を明文化した。その中に「給与とは社会に役立つ事によって得られる報酬である」、「世にあって有用な社員たるべし、また社たるべし」とある。この「世に有用な社員、社たるべし」はまさに時代が変わろうとも常に革新性がなければ遂行できないテーマである。

 ハウス食品グループ本社の浦上博史社長は「カレーをはじめとする加工食品分野など(顧客に)支持されている商品はしっかりと堅持していかなければならない」とする一方で「現在の成熟市場を考えた時に、今までのやり方では残していくことが難しいものもある」と指摘する。不変と革新の両立、これこそがハウス食品100余年の歴史であるといっていい。

 現在の中期経営計画ではマーケティングとイノベーションの両輪を回していくことを掲げている。これまでは“顧客接点”の拡大を標榜(ひょうぼう)し、商品ラインを広げてきた。しかし、成熟社会を迎え社会に有用たる会社を実現するにはハードルも高くなる。

「R&Dのやり方を変える」(浦上社長)


 浦上社長は例えば「マーケティングではR&Dのやり方を変えていかなければだめだ。従来は製品開発畑のオーダーを受けて研究開発する体制だったが、受けの姿勢ではないR&Dとしてどういうテーマで市場を変えていくのか。そういう仕組みを作りたい。そして社会を変えていくのがイノベーションだ。そのための試行錯誤を続ける」(浦上社長)という。

 その具現化の一つが涙の出ないタマネギ「スマイルボール」の開発だ。レトルトカレーの製造過程の課題をクリアするため研究に着手、生食した時に辛みを感じないので用途も広がる。

 浦上社長は「新しい価値を生んだと思っている。これまでのハウスのビジネスモデルと違う(川上からの)バリューチェーンを意識した商品だ」という。ハウスにおける“世に有用な社たるべし”という社会との絆はこうした形で脈々と受け継がれている。
≪企業概要≫
1913年(大正2年)、創業者である浦上靖介氏が大阪市松屋町筋に薬種化学原料店「浦上商店」を創業。49年「ハウスカレー浦上商店」と改める。63年に「バーモントカレー」を発売し爆発的なヒット。シチューやスナック食品などにラインを広げ最近ではレストラン事業、カレーハウス「CoCo壱番屋」を展開する壱番屋を子会社化し新たなバリューチェーンも構築中だ。
※日刊工業新聞では毎週木曜日に「不変と革新パート3―絆編」を連載中

日刊工業新聞2016年2月18日4面

COMMENT

村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

スーパーの棚を見ても「バーモントカレー」は他のカレールーと比べても数十円、ものによっては100円近く割高だ。それでも他の商品以上のスペースを確保している。他商品のベンチマークにもなる商品力の高さの表れだろう。「世に有用たる―」という理念に納得させられる。

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