「水電池」が大活躍、建物に浸水知らせる装置実用化
三嶋電子が開発
三嶋電子(東京都千代田区、檀浦逸克社長)は、大雨や台風などで施設や建物などへの浸水を知らせる水電池を使った装置を実用化した。河川の増水や氾濫の通知で実績のある装置を改良した。雨水などが一定量に達すると水電池が発電して警告灯が点滅したり無線で通知したりなどする。施設管理者は浸水状況を把握して、入居者の避難や製品の移動などの対策がとれる。工場や倉庫、病院、商業施設などでの利用を見込む。
施設・建物向けの同装置の初号機は、東京労災病院(東京都大田区)に採用された。同病院の出入り口部分の5カ所に設置。大雨などで水位が一定のところまで上がると、装置に装着したフロートが浮き上がり水電池のスイッチが入る仕組み。水電池の発電で警告灯が点滅する。同病院には電源不要の浮力式止水板を設置してあり、止水板作動時の警告灯として機能する。
また、雨量が多くなると同病院の防災センターに無線で通知する仕組みも設けた。雨量計に50ミリリットルの水がたまると水電池のスイッチが入って電波を発信し、防災センターにブザー音と警告灯の点滅で浸水を知らせる。病院の職員や警備員は浸水状況をリアルタイムに把握することで、すばやく浸水対策をとることができる。
三嶋電子は水電池を活用した製品や装置を開発、販売している。これまでに懐中電灯やウオーターランタン、スマートフォンの充電池セットなどがある。また河川が増水し、一定の水位に達すると危険を知らせる河川増水危険警告灯を開発済みで設置実績がある。施設・建物向けの浸水通知装置をそろえたことで、浸水対策のニーズを取り込む。
日刊工業新聞 2023年04月14日