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「安全性と安定性で好感触」…三菱ふそうが「重量物を無人搬送」導入へ

「安全性と安定性で好感触」…三菱ふそうが「重量物を無人搬送」導入へ

工場内で無人走行するトラクトイージー(三菱ふそう提供)

重量物を無人でけん引する電動車をトラックの工場で活用するための実証実験に、三菱ふそうトラック・バスが取り組んでいる。1トンにも及ぶエンジンを無人車両で運べるようにすることで、業務負担の軽減や人員不足などに対応する考え。走行条件を変えて数カ月間実験を行い、導入できるか判断する。

導入に向けて実証実験をしている車両は、仏イージーマイルの無人電動けん引車「トラクトイージー」。最大25トンの重量物をけん引できる。

三菱ふそう生産本部サプライチェーン統括部の山内浩平マネージャーは「センサーやカメラを使って数センチメートル単位の正確さで自動走行できる」と性能の高さを強調する。ただ、空港のように広くて障害物が少ない場所でこれまで使用されており、国内の工場に導入された実績はない状況だ。

三菱ふそうは工場への初導入に向け、2022年10月に主力工場の川崎製作所(川崎市中原区)で第1期の実証実験を実施。トレーラーを2台けん引し、900メートルを無人走行した。遠隔監視システムはパナソニックホールディングス(HD)の製品を活用し、オペレーターが緊急時に操作できる体制にした。

山内マネージャーは実証実験について「安全性と安定性では好感触を得た」と評価。第1期の実証実験は人がいない休日に実施したが、第2期の実証実験は人が存在する平日に走行する。第3期は平日にエンジンを積み、実運用と同じ状況で実施する計画だ。三菱ふそうは無人けん引車を導入できれば「コストを削減でき、従業員がより価値の高い仕事に従事できる」とみる。

トラクトイージーの国内導入を進める長瀬産業は、工場内での実証実験などを通じて実用化に向けたニーズ調査を進め、24年以降に本格的に販売する方針。海外の工場では導入実績が既にあり、その知見を国内でも生かす。パナソニックHDとも連携し、実用性を高めているのも大きな特徴だ。

日刊工業新聞 2023年04月15日

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