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次世代電子部品の生産技術に、名大が高品質ナノシート基板作製で新手法

次世代電子部品の生産技術に、名大が高品質ナノシート基板作製で新手法

ナノシート積層基板の量産イメージ(名大提供)

名古屋大学の施越研究員と長田実教授らは、懸濁液を1滴垂らすと1分で高品質なナノシート基板(ナノは10億分の1)を作れる手法を開発した。シリコンやプラスチック基板上にグラフェンや六方晶窒化ホウ素などのナノシートを緻密に並べる。簡単な装置で自動化でき、人の手によるバラつきを排除可能。100層まで積層できた。ナノシートを用いた次世代電子部品の生産技術になり得る。

ポリエチレンテレフタレート(樹脂)などの基板上に1リットル当たり0・02グラム―0・05グラムの希薄ナノシート懸濁液を垂らす。懸濁液には蒸発を促すエタノールを1―2%添加する。すると液滴の縁から懸濁液が蒸発し、ナノシートが緻密に並ぶ。ナノシートを帯電させ、シート同士で反発させることで重なりを防いだ。

懸濁液は垂らした後に吸い上げ、1ナノメートルほどの薄い水膜とする。そのため蒸発が早く、30秒―1分で一層分を成膜できた。これを繰り返し100層まで積層した。グラフェンと六方晶窒化ホウ素など異なるナノシートの積層にも成功した。

作業は自動ピペットで機械化でき品質をそろえられる。研究室では4インチ基板まで実証した。次世代半導体としてナノシートを積層する回路が提案されているが生産技術が課題だった。


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日刊工業新聞 2023年04月10日

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