2020年以来の2桁減少、電子部品出荷額が低迷する背景
電子情報技術産業協会(JEITA)がまとめた日本メーカーによる1月の電子部品世界出荷額は、前年同月比10%減の3232億円だった。2ケタのマイナスは新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年5月の同22%減以来。中華系スマートフォンの販売不振を受け、顧客が電子部品在庫の調整に動いた結果、実需以上に出荷が落ち込んだ。為替も円高傾向が進み、出荷額を押し上げる要因が減っている。
品種別に見ると、スマホなどの中で電気を一時的に蓄えたり放出したりして回路のノイズを除去し、電圧を安定させるコンデンサーは前年同月比15%減の1088億円。コンデンサーと組み合わせて電流の波をなだらかにするインダクターも同9%減の217億円にとどまった。一方、トランス(変圧器)は半導体製造装置や工場自動化(FA)向けの好調を背景に同6%増の43億円だった。
コンデンサーなどの不振は、中華系スマホメーカーを中心に手持ちの電子部品在庫を調整する動きが広がっているためとみられる。半導体不足に伴う値上げの影響などで中華系スマホの販売が伸び悩んでいることが背景にあるが、結果的に実需の落ち込み以上に電子部品の発注が減り、出荷額の低迷につながっている。
円相場が対ドルで一段と上昇し、7カ月ぶりの円高ドル安水準をつけたことも影響した。電子部品メーカーの海外売上高比率は相対的に高く、海外の顧客との決済はドル建てが主流。円安は円換算した際の売り上げを押し上げる。だが1月、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが減速し日米の金利差が縮小するとの見方が広がったことなどから、円高が進行。出荷額の押し上げ効果が薄れた。
中国では新興スマホメーカーを中心に縦折り式の新製品を投入する動きも相次ぐ。ただ思惑通り販売増につながるかは不透明だ。在庫調整が進展すれば、出荷は早ければ4月にも底打ち感が強まるとの見方が多いものの、物価高を背景に広がった消費者の貯蓄志向など不安材料も多く、予断を許さない。
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