細胞培養能力10倍の装置開発、キヤノンが再生医療に参入
キヤノンは23日、再生医療分野に参入すると発表した。3―5年後を視野に、再生医療用細胞の培養装置事業を立ち上げる。これに伴い京都製作所(京都市伏見区)から治療用などの細胞を大量製造可能な装置技術を取得する契約を結んだ。現在使われる培養装置の約10倍の培養能力を持つ装置を開発し、研究機関や製薬企業などへの販売を目指す。同装置技術の取得にかかる費用は非公表。
再生医療は体外で人工的に培養した細胞や組織を体に移植する治療法。実用化により、これまで有効な治療方法がなかった病気の治療の実現が期待される。製薬企業を中心に、再生医療など細胞を活用した医療分野の研究開発が活発化しており、細胞培養装置の需要も高まっている。
キヤノンが開発を目指すのは他人の細胞(他家細胞)を一度に大量製造できる培養装置。効率的な細胞の生産や品質検査のコスト低減が期待される。同社のメディカル事業は画像診断とヘルスケアITを柱に事業展開している。検査・診断の領域から治療領域へ事業をさらに拡大し、メディカル事業全体の競争力の向上につなげる。
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日刊工業新聞 2023年03月24日