排ガス試験で不正、豊田自動織機がフォークリフト国内出荷停止
豊田自動織機は、フォークリフト用エンジンについて排ガス認証試験で法規違反を確認した。対象はディーゼルエンジン2機種とガソリンエンジン1機種。劣化耐久試験で、実測値を使わない、制御ソフトの一部を変更する、試験中に部品交換するといった不正があった。これに伴い、中小型フォークリフト3車種の国内出荷を止めた。
出荷停止したのは合計でエンジン式フォーク販売の9割を占める主力車種で、月産台数は計約1400台。このうちディーゼル式フォークは規制値を1・4倍越える粒子状物質(PM)が排出されるため、リコール(回収・無償修理)を検討する。影響台数は最大で7万1300台。建設機械用に外販しているディーゼルエンジンの出荷も止める。業績への影響は今後精査する。
17日に外部の弁護士らによる特別調査委員会を設置した。経緯や原因の分析、再発防止策の取りまとめなどを進める。再出荷時期は、国土交通省の立ち入り調査なども踏まえて判断する。
また、豊田鉄郎会長、大西朗社長(写真)が月額報酬の全額を6カ月分、産業車両部門トップの水野陽二郎副社長と、エンジン部門トップの松本洋経営役員が同30%を6カ月分、それぞれ辞退する。
2020年に北米での認証取得に伴い実施した調査を、国内向けにも広げたことで発覚した。大西社長は「多くの関係者に多大な迷惑をかけ深くおわびする」と陳謝。その上で「環境規制に対する社内の意識が薄かったと同時に経験が不足していた」とし、「経営者として重く受け止めており痛恨の思いだ。この機会にウミを出す」とした。北米での調査を受け、21年にはエンジン事業部内で開発と認証を行う部門を分ける措置を講じた。