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売上高過去最高を見込むいすゞ自動車、社長に昇格する南真介氏の経歴

売上高過去最高を見込むいすゞ自動車、社長に昇格する南真介氏の経歴

南真介取締役専務執行役員(右)と片山正則代表取締役社長

いすゞ自動車は、南真介取締役専務執行役員(63)が4月1日付で社長最高執行責任者(COO)に昇格すると発表した。片山正則社長(68)は新設する最高経営責任者(CEO)に就き、代表権のある会長も兼ねる。社長交代は8年ぶり。2023年3月期は売上高が過去最高となる見込みで、経営基盤が固まるのを機に交代する。技術畑が長い片山氏と企画系出身の南氏が二人三脚で、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)をはじめとする事業環境の変化への対応を急ぐ。

10日、都内で開いた会見で社長に就任する南氏は「多様な連携の中で新しい価値が生まれつつある。企業文化の変革を進めていく」と意気込みを語った。事業環境が変化する中で「守りが得意ないすゞが積極的にイノベーションを起こす立場にならないといけない。これまでの経験を生かして(さまざまなステークホルダーと)同じ方向に向かって展開していきたい」と力を込める。

南氏は国内営業や経営企画、海外営業などを経験した後、役員としてスウェーデンのボルボ・グループやトヨタ自動車などとの協業を担当して「アライアンス先や政府関係者との関係を深めてきた」(南氏)。長年、片山氏の右腕として重要な意思決定に関与してきた経験を生かし、今後は社長の立場で片山氏を支える。

片山氏は「(規模が大きく拡大した)今の状況だと負担が大きい。2トップの方が発展につながる」とCEOに就いた背景を説明。南社長について「数字を作り上げる力がある」と評価した上で「私が得意とする中長期的な戦略を考える力、技術視点と組み合わせていきたい」と話す。

片山氏は15年6月、社長に就任して他社との連携を進めてきた。19年に米エンジン大手のカミンズとパワートレーン事業でのパートナーシップを締結。20年にはボルボと技術開発や販売などで相互支援する戦略的提携を結び、当時ボルボの傘下だったUDトラックスの買収を実現した。21年にはトヨタと資本提携を結び、コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)への参画も果たした。

【略歴】南真介氏(みなみ・しんすけ)83年(昭58)早大商卒、同年いすゞ自動車入社。17年常務執行役員、18年取締役、21専務執行役員。東京都出身。
日刊工業新聞 2023年03月11日

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