ニュースイッチ

半導体人材育成、経産省が創設検討するプログラムの中身

半導体人材育成、経産省が創設検討するプログラムの中身

経済産業省

経済産業省と文部科学省は、半導体分野の新たな人材育成プログラムを創設する方向で検討に入った。半導体の高性能化が求められる中で、汎用チップから、自動運転車など用途ごとに最適化した専用チップのニーズが高まっている。用途を踏まえた上で回路設計から量産プロセスまで一気通貫で担える人材を育成、確保する。年央にもプログラムを策定。半導体産業の基盤固めにつなげる。

技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)が事務局となり、プログラムを管理、参加者を選定する。学生を含め国内外の教育・研究機関のほか、半導体やソフトウエア関連企業などから、年数十名程度の参加を想定している。

Rapidus(ラピダス、東京都千代田区)が北海道千歳市に設ける試作ラインを活用したり、米国の大学やベルギーの国際研究機関「imec」など海外に派遣したりすることも検討している。

プログラム修了後はラピダスなどプログラム協力企業や学術界への就業を想定する。プログラムの開始時期や期間、修了要件を含め詳細は今後詰める。経産省は年央にも「半導体・デジタル産業戦略」を改定する方針で、新たな育成プログラムを盛り込む方向だ。

台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出をきっかけに、各地で半導体人材育成を強化する動きが広がっているが、生産現場の技術者や製造技術の開発者らの育成が中心。新たに創設するプログラムでは用途、回路設計、パッケージング、量産プロセスなど一連の流れを俯瞰(ふかん)できる人材を育てる。

データや演算量の増加に伴い、汎用チップの限界が指摘されている。例えば自動運転車に使われる半導体は汎用チップよりも、自動運転に特化した専用チップの方が消費電力を抑えられ、電気自動車(EV)の航続距離延長に寄与する。

経産省では各用途に特化した設計、量産の流れを重視している。米アップルやグーグル、テスラなど有力半導体ユーザー企業の間では、自社製品に特化した専用半導体を自社開発する動きが広がっている。

日刊工業新聞 2023年03月10日

編集部のおすすめ