大林組は地下空間を活用する次世代道路構想「ダイバーストリート」の実物大モックアップを構築し、工期や施工性、支持力特性などを検証し有効性を確認した。今後はモックアップを活用し、都市や道路の発展に合わせた路面更新の研究開発を加速する。併せて地盤の条件に応じた最適な施工方法の検討や、求められる地下空間の用途に応じた設計方法の開発にも取り組む。

ダイバーストリートの施工では、従来工法で土留め壁として用いた仮設鋼矢板を支持構造物として活用する。これにより鋼矢板の撤去と側壁の躯体工事を不要にでき、１８％の工期短縮とコスト削減、掘削面積の縮小が可能になる。鋼矢板はボルトで鋼板と接合し、その上に調整板とソールスポンジを設置。鋼矢板の高さをそろえ、プレキャスト床版の設置も容易にした。

今回のモックアップは同社技術研究所（東京都清瀬市）内に構築した。地面に近い軟弱地盤では、高圧噴射撹拌工法により地盤を改良。鋼矢板頭部の水平変位を２ミリメートルに抑えた。一方で深い硬質地盤では、クラッシュパイラーで先行掘りを実施。さらに根固め注入で鋼矢板の支持力確保と沈下抑制対策を行い、約２０トンの工事車両が走行した際の沈下量を０・１ミリメートル以内に抑えることに成功した。