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日本食ブームの波に乗る!キユーピー、海外でマヨ拡販

中計策定。「日本式マヨネーズはすしなどと相性が良い」(三宅社長)
日本食ブームの波に乗る!キユーピー、海外でマヨ拡販

三宅社長

 キユーピーは9日、2016―18年度までの新中期経営計画を発表した。売上高を18年度に6250億円(15年度は5782億円)、営業利益を355億円(同264億円)に、それぞれ伸ばす。海外売上高は645億円(同377億円)、マヨネーズやドレッシングなどの調味料事業は1780億円(同1427億円)、サラダ・総菜事業は1250億円(同1019億円)を計画。成長が見込める海外で売り上げを伸ばすとともに、国内は野菜と卵を切り口にメニューや商品を提案して底上げを図る。

 海外は中国で15年度の142億円から18年度に266億円、北米は129億円から189億円を計画。中国は北京、上海から内陸部へ拡販を進める一方、17年稼働の食酢工場などでマヨネーズの生産力を増強し、卵加工品や総菜も強化。北米はマヨネーズやドレッシングを業務用中心から家庭用に広げる。アジア各国の工場の増強も視野に入れる。 

米国の展示会に初出展


日刊工業新聞2016年1月12日


 キユーピーは17―19日に米国のサンフランシスコ市で開催予定の総合食品見本市「Winter Fancy Food Show2016」に、調味料を出品する。キユーピーが米国の展示会に調味料を出品するのは初めて。マヨネーズやノンオイル青じそドレッシング、ゆずドレッシングなどが対象。米国は肥満人口増加でダイエットや健康への関心が高く、和食人気で関連商品需要も見込めるため拡大を急ぐ。

 同見本市は約30カ国から同1400社が出品する全米最大級の総合食品見本市。昨年は延べ8万人が入場した。卵黄マヨネーズはサーモンにぎりずしなどと相性も良く、キユーピーは最近、米国にドレッシングの輸出を始めたばかり。海外展開は中国や東南アジアが中心だったが、欧米市場にも力を入れる。

三宅社長インタビュー


日刊工業新聞2015年12月30日


 2016年1月18日に、東京・渋谷の新本社へ移転するキユーピー。13年に一時移転した調布市の仙川キユーポートでは子会社を含め研究開発部門を集約、横断的なコミュニケーションを目指した。マヨネーズとドレッシング以外にも卵加工品、野菜、化粧品、物流システムなど多様な顔を持ち、中国やインドネシアをはじめ、海外展開にも注力している。三宅峰三郎社長に今後の戦略を聞いた。

 ―16年はどんな年にしたいですか。
 「15年はマヨネーズの発売90周年でLINEを活用した若者、新規ユーザーの取り込みや、マヨネーズ会社の原点に返り、社内でもメニューコンテストを行った。地域食材を使ったメニューで、行政とのつながりもできた。これらの取り組みをさらに発展させたい」

 ―8月に神戸市東灘区に、45年ぶりとなるマヨネーズ新工場を着工します。
 「神戸工場は東日本の五霞工場と並ぶ、西日本のマザー工場だ。24時間365日稼働と生産経費半減を目指して、いろいろな新技術導入を考えている。ミキサーの改良、工程の長さ短縮、無人化、乳化技術など。マザー工場は定番品を集中生産してコスト競争力を高め、周辺工場はサテライトで期間限定品や高付加価値品などの多品種少量生産に対応する。神戸で得た知見を、五霞工場にも生かす」

 ―13年10月に、研究開発拠点の仙川キユーポートの開設に続き、1月に本社機能を東京・渋谷に移転します。
 「渋谷本社に集約するのは主に営業部門だ。仙川キユーポートでは本体のほかキユーピータマゴ、カナエフーズ、サラダクラブ、デリア食品などグループ会社の研究開発を統合、同じ建物で会社が違っても新商品開発などで話しやすい雰囲気が生まれた。同じ効果を営業でも狙う。消費者の食生活は内食、中食、外食と多様化している。グループ会社でもホテルに強い会社とスーパー営業に強い会社などいろいろある。営業マンが別々に回るのではなく一緒に客先を訪問すればセット提案や複合営業ができる」

 ―中国など新興国経済が減速していますが、海外展開は。
 「海外は中国、東南アジア、他諸国と三つに分けて考えている。中国は江蘇省に昨年設立した南通丘比食品でマヨ原料の食酢と卵加工品を生産、総菜など新しいことにもチャレンジしたい。東南アジアはマヨとドレッシングでブランド認知を拡大。欧州や北米では日本食ブームを利用してマヨを売り込む。卵黄原料の日本式マヨネーズはすしなどと相性が良い」

【記者の目・次の100年に向けて戦略実行】
 マヨネーズ、ドレッシングとも国内で圧倒的に強いブランドを海外でも展開していけるかが焦点になる。国内は低価格競争が激しいだけに生産コスト削減がカギ。ただ、それに必要な工場、子会社再編などの手はすでに打っており、次のマヨネーズ100年に向け戦略を着実に実行できるかだ。
(聞き手=嶋田歩)
日刊工業新聞2016年2月10日生活面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
日本では圧倒的なブランド力がある。食品業界ではそれが海外で通用しないことも多いが、キユーピーの潜在的なポテンシャルは大きいと感じる。ここ数年も海外展開でいろいろ手を打っている印象はあるが、次の3カ年に期待を抱いてしまう。

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