旭化成のグループ会社が戦略提携、先端電池技術持つ米企業の正体
旭化成は、リチウムイオン電池用セパレーター事業を行うグループ会社の米セルガードが先端の電池技術を持つ米C4Vと戦略提携を結んだ。主に電力貯蔵(ESS)用途を想定した次世代の高性能・高電圧電池セルの開発で協力する。C4Vは2030年までに年150ギガワット時超の電池生産能力を持つ計画があり、この生産拠点網でセルガードのセパレーターが使われる可能性がある。
両社は、C4Vの高電圧バイオミネラル化リン酸金属リチウム(BM―LMP)正極材料に適したセパレーターを開発する。C4Vは電池技術のフランチャイズ展開により電池の生産体制の構築を進めており、22年8月に電池セルの生産を開始した。既存のフランチャイズ工場は米国とインド、豪州の3カ所にあり、30年までに他地域を含めて合計10カ所の大規模工場(ギガ・ファクトリー)へ拡大する計画だ。
同社の開発するBM―LMP高電圧電池セルは長いサイクル寿命と急速充電を実現し、熱暴走で生じるリスクを低減する。コバルトやニッケルといった希少金属を使わないため、原料供給の不確実性を軽減できる。リン酸鉄リチウム正極材以上に高い安全性を持つという。
【関連記事】 旭化成の「自動車用シート材」巨額買収、決断の裏に東レの存在
日刊工業新聞 2023年03月02日