核融合炉で採用へ、フジクラが量産技術を確立した「レアアース系高温超電導線材」の実力
フジクラは米コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS・マサチューセッツ州)にレアアース(希土類)系高温超電導線材の納入を始めた。これに伴い生産能力を2倍以上に引き上げる。2025年度までに佐倉事業所(千葉県佐倉市)で1000キロメートル以上を生産する。核融合炉に求められる超高磁場中で、高い電流特性と高強度を実現するレアアース系高温超電導線材の量産技術を確立した。核融合発電に必要な超電導電磁石の小型化を実現する。
レアアース系高温超電導線材は強磁場で適用できるほか、従来の金属系の超電導機器の小型・軽量化に寄与する。次世代核融合炉は20テスラ以上の高磁場が想定される。高磁場に対応するレアアース系高温超電導線材を用いることで、核融合炉の小型化が実現可能になる。フジクラは長年培った技術力を基に、CFSの要求に合う量産技術を確立した。
CFSは、マサチューセッツ工科大学のスピンオフ企業として2018年に設立。30年代前半に世界初の小型核融合商業炉の実現を目指す。核融合発電は二酸化炭素(CO2)を排出せず、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)社会の実現に向けた次世代エネルギーとして期待が寄せられている。
日刊工業新聞 2023年03月02日