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エンジ専業大手、LNG低迷で原発・海洋開発シフトへ

北米やモザンビークでLNG再開もにらむ
 エンジニアリング専業大手が、新分野の事業化を加速している。日揮は日立製作所、米建設大手のベクテルの3社で、英国での原発建設に向け企業連合を組む方向で最終調整に入った。千代田化工建設は、海洋開発のEPC(設計・調達・建設)を手がけるエマスAMC(シンガポール)への出資を決めた。

 原油安で収益源の液化天然ガス(LNG)プラント受注が落ち込む中、一段の成長には新たな経営の柱づくりが不可欠。

 日揮はベクテルと連携し、日立が英国西部ウィルヴァ・ニューウィッドで計画する原発2基の建設工事を請け負う見通し。2社の受注額は1700億円規模の見込み。すでに日立の全額出資子会社である日立ニュークリア・エナジー・ヨーロッパと企業連合を組み、原発のEPC受注に向けた準備を進める。日揮は原発建設の実績はないが、福島第一原発事故を受け、放射線物質を含む廃棄物処理などを担当。原発向けの専門部署を設置した。

 千代田化工は、シンガポールのエンジ会社エズラホールディングスの持つ、サブシー(海底プラント)のEPCI(設計・調達・建設・据え付け)事業部門エマスを分離した新会社に200億円規模を出資。エマスをエズラとの合弁にする計画で、2015年度中の設立を目指す。

 ここ数年で日揮と千代田化工は、大型LNGプラントを相次いで受注。受注残高は15年12月末時点で、日揮が1兆2958億円、千代田化工が1兆1920億円と、過去最高水準を維持している。

 一方、足元では原油下落を受け、LNG開発が停滞。今期の大型LNG受注は現時点で、日揮が0件、千代田化工は1件にとどまる。両社とも豊富な受注残から、今後2年は現在の売り上げ規模を維持できる見通しだが、中長期の成長にはLNGに次ぐ柱の育成が避けられない。
日刊工業新聞2016年2月11日1面
長塚崇寛
長塚崇寛 Nagatsuka Takahiro 編集局ニュースセンター デスク
 エンジニアリング専業大手2社は、プロジェクト総額が1兆円を超えるケースもある液化天然ガス(LNG)プラントを成長エンジンとしてきた。原油安に伴うLNGプラントの停滞で、両社とも今期の受注額は前年を大きく下回る見通し。日揮は国内で周辺設備などは手がけていたが、建設の実績はない。参入には他社との協業が前提となる。とは言え、原発分野は高い安全性が求められるうえ、参入障壁が非常に高く、ポストLNGの先兵になりうる可能性は大きい。ただ、原発事業が収益貢献するまでには、しばらく時間がかかりそう。世界のエネルギー需要を鑑みれば、LNG開発も再開する公算が大きい。来期以降は北米やモザンビークなどで、受注確率の高い案件を抱える。LNGをベースに新規分野を積み上げる受注ポートフォリオづくりが成長のカギを握る。 (日刊工業新聞社編集局第一産業部・長塚崇寛)

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