実装面積4割小型化、TDKが車載向けチップビーズで新製品
TDKは自動車などの電源回路のノイズを除去するチップビーズの新製品を開発した。内部電極の設計を工夫して他社の長さ3・2ミリ×幅2・5ミリメートルのタイプより実装面積を約4割小さくしつつ、定格電流(チップビーズの特性に問題ない範囲で一度に流せる電流の最大値)は12アンペアと大きくした。同社によると長さ2・5ミリ×幅2・0ミリメートルで定格電流が10アンペア以上の仕様のチップビーズは業界初。設計の自由度向上や最終製品の軽量化などに寄与できる。
新製品のシリーズ名は「MPZ2520SPH」。TDKエレクトロニクスファクトリーズの大内工場(秋田県由利本荘市)で2月から生産を開始した。消費税抜きのサンプル価格は1個40円。自動車のほか、ロボット電源など産業機器やパソコン、サーバー向けなど民生機器にも拡販し、早期に月産1000万個を目指す。
自動車の先進運転支援システム(ADAS)向け電子制御ユニット(ECU)や、電気自動車(EV)に搭載するDC―DCコンバーター、充電器、パワートレーン(駆動装置)などの電源回路には大きな電流が流れる。フェライトビーズも対応が求められるため、従来は長さ3・2ミリ×幅2・5ミリメートル以上の大型サイズを使ったり、定格電流12アンペア未満の小型のチップビーズを複数、並列に接続して対応していた。
新製品は内部電極の設計を工夫。従来のコイル型をやめ、直流抵抗をより減らせるパターンにすることで、小型化と大電流対応を両立した。実装面積を減らして省スペース化に貢献できるほか、並列接続の場合に比べて電流の安定化も図れる。
日刊工業新聞 2023年02月24日