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ダイハツ社長、サプライヤーに「トヨタ完全子会社化」の利点強調

説明会で協力会を再編しないことを明言。工具メーカー「不安感は晴れた」
ダイハツ社長、サプライヤーに「トヨタ完全子会社化」の利点強調

豊田トヨタ社長(左)と三井ダイハツ社長(子会社化の会見)

 ダイハツ工業は12日、協力会「DSC=ダイハツ・サプライヤーズ・クラブ」企業向けに、トヨタによる完全子会社化に関する説明会を開いた。三井正則社長は、完全子会社化によって長期戦略に基づいた動きが可能になる利点を説明。トヨタとダイハツ両ブランドの小型車開発と生産を担うに当たっての方針を語った。

 完全子会社化することでダイハツはトヨタの5年後の戦略や技術開発に初期段階から関わり、コンパクト化や低コスト化を進めることで2年程度の短期的な遅れで小型車に展開できるという。また、これまでは少数株主が求める短期的利益への期待にも応える必要があったが、長期戦略に基づいた動きが可能になる。

 三井社長は1月29日のトヨタとの共同会見で「両ブランドが際立つ車を供給する」と掲げており、説明会では、これまでの一つの車を2ブランドで展開する形式のOEM(相手先ブランド生産)ではなく、それぞれのブランドに向けて開発した車を生産することを表明。「小型車市場でバッジだけ異なる同類車がカニバリゼーションする(共食いする)のを回避するもよう」(部品サプライヤー)だ。

 説明会では、DSCをトヨタの協力会と再編する計画はなく、ブランドと同様に独自性を維持することも三井社長が語った。

 説明会に参加した企業からは「不安感は晴れた」(工具メーカー)、「トヨタの資本力が加わることで、工場への設備投資が積極的になると期待している」(設備メーカー)との声が聞かれた。

 ただ、ダイハツが掲げる両ブランドが際立つ車の供給の実現には「小型車の限られたカテゴリーの中で、コンセプトや質感、価格などが異なる複数車種をうまく開発しわける必要がある」(材料メーカー)。開発の人員強化や効率的な開発手法の取り組みが課題だ。グループの小型車事業を任されたダイハツだが「ダイハツもサプライヤーも今後、名古屋(トヨタ)の期待に応えられるか、力を試される」(部品メーカー)。
2016年2月12日日刊工業新聞電子版
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
サプライヤーにはそう説明するしかないでしょう。トヨタは急速にクルマづくりのあり方を見直しでおり、早晩、ダイハツを含めた小型車のサプライチェーンの効率化が始まるはず。

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