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アイフォーン減速、工作機械受注にも影響大きく

1月は好不調の分岐点「1000億円」は辛うじて維持
 日本工作機械工業会(日工会)がまとめた1月の工作機械受注(速報値)は、前年同月比17・2%減の1002億5900万円となり、好不調の分かれ目である1000億円を維持した。外需にスマートフォン(スマホ)向けの受注が含まれる模様だが、2015年年央までみられたような大規模な案件ではないようだ。

 内需は同2・9%増の395億8400万円で5カ月ぶりの増加、外需は同26・6%減の606億7500万円で8カ月連続の減少だった。外需は前年のスマホ特需の反動減で減少幅が大きい。

 1月は稼働日が少なく、海外は決算月の翌月のため、他の月に比べて総額が小さくなる傾向がある。日工会は1000億円を維持したことについて、「1月の季節性に加え、世界経済に不透明感がある状況下では、まずまずの水準になった」(事務局)と評価する。

主要7社、スマホ不振も航空機や電力に勢い


 日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要7社の1月の受注実績は、前年同月比15・6%減の297億1000万円だった。内外需とも力強さに欠けた。

 内需は中小企業の設備投資が弱含みになり、外需はスマートフォン(スマホ)向けが鈍い。経済の先行きを見定めるため、投資に慎重になる動きが世界で広がっている。

 内需は同8・7%減の122億400万円だった。自動車関連の大手・準大手企業などが計画していた設備投資を着々と進める中、中小企業が「政府の設備投資補助金の導入や景気の先行きを様子見する傾向がある」(オークマ営業部)という。

 ただ、航空機向けは勢いがあり、牧野フライス製作所は「構造部品を削る大型マシニングセンター(MC)の受注が伸びた」(業務部)と、国内の増加要因になった。

 また、外需は同19・9%減の175億600万円だった。外需が微増のオークマは、米国の航空機と電力関連向けが好調だ。業種別ではスマホ向けが振るわず、ツガミは前年にあった特需の反動減が大きい。

 新興国では三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)がインドで自動車向けのまとまった受注を得た。経済停滞の中国だが「金型向けが堅調だ」(牧野フライス業務部)という。

 中国ではオークマも商談時間が長引いてはいるが「件数そのものは多い」(営業部)と現地ユーザーに投資意欲はある。商談の長期化は米国でもみられるという。

鍛圧機械も3カ月連続前年割れ


 日本鍛圧機械工業会(日鍛工)がまとめた1月の鍛圧機械の受注実績は、前年同月比7・6%減の212億9900万円となり、3カ月連続で減少した。プレス系機械は同28・6%減の82億5700万円と落ち込みが大きかった。板金系機械は国内外が好調で、同22・6%増の79億4000万円だった。板金系は6カ月ぶりに増加に転じた。

 プレス系と板金系を合わせた機械合計のうち、国内は同1・4%減の94億5700万円で5カ月連続の減少だった。自動車向けの同26・2%減、電機の同12・5%減が影響した。輸出は同20・3%減の67億4000万円だった。北米、中国などが2ケタ増だったが、東南アジアが同66・0%減、欧州が74・4%減と大幅なマイナスだった。

 機種別は、プレス系の国内が同19・5%減、輸出が同36・2%減だった。国内は世界経済の不透明感が年明けに強まり、投資判断に慎重さが増した。輸出の減少は前年の自動車向けの大型受注の反動が大きい。板金系は国内が同20・2%増、輸出が同27・5%増。レーザー加工機の販売が好調だった。
日刊工業新聞2016年2月10日機械面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 工作機械産業の外部環境はあまり芳しい材料が見当たりません。これまで円安、政府の設備投資補助金、iPhone人気といった要因で受注を伸ばしてきたのですが、様相が変わってきました。為替は対ドルで足下110円台になりました。製造業の国内回帰感は円安を背景のひとつとし、国内の工作機械受注を伸ばす重要要素でした。  また、ことしの設備投資を促す政府補助金は、対象が工作機械以外の設備が中心になるようです。そしてiPhoneは販売低迷、減産が報じられています。筐体加工などに大量の日本工作機械が使われていて、この影響は大きそうです。 (日刊工業新聞編集局第一産業部・六笠友和)

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