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「地域PPS」の支援、大企業よりもベンチャーに親和性

Jリーグや地元企業巻き込み電力小売り事業拡大
 電力ベンチャーが地域主体の電力事業との連携に乗り出している。新電力(PPS)2位のF―Power(Fパワー、東京都港区)は、Jリーグのコンサドーレ札幌や秋田県鹿角市の電力販売事業を支援する。洸陽電機は自治体や地元企業に対し、再生可能エネルギー発電所の開発から技術・金融面まで含めた支援を提案する。地域側は電力ビジネスのノウハウ不足を補える。電力ベンチャーは自治体や地元企業の基盤を生かし、事業を拡大できる。

 Fパワーは2009年の設立。企業や行政に電力を販売している。コンサドーレと地域限定ポイントサービス「エゾカ」を運営するリージョナルマーケティングが設立した電力販売会社「エゾデン」と連携。エゾデンがコンサドーレとエゾカの知名度を生かして顧客を獲得。Fパワーは4月から契約者に電力を販売する。

 鹿角市主導で設立が検討されているPPS「かづのパワー」には、三菱電機とともに計画段階から協力する。かづのパワーは近隣の地熱や風力などの再生エネ発電所から電力を調達し、市有施設に販売する計画。再生エネだけで不足する電力の調達や需給調整でFパワーが協力する。

 洸陽電機は神戸市のPPS設立構想に協力している。都市ゴミによるバイオマス発電や太陽光の電力をPPSが買い取り、市内で販売していく計画。同社は省エネルギー支援事業を手がけてきた。12年にPPSとなり、電力小売りに参入。10万キロワット超の太陽光発電所の保有・建設も進める発電事業者でもある。

 4月から一般家庭への電力販売を予定する福岡県みやま市主体のPPS「みやまスマートエネルギー」には、エプコが協力する。蓄電池を使って電力需給を調整する技術を検証し、運営面も支援する。

 エナリスは神奈川県を拠点とする子会社「湘南電力」を運営する。収益の一部は、共同出資するJリーグ・湘南ベルマーレを通して地域の活性化に役立てる。
日刊工業新聞2016年2月11日エネルギー面
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
「電力ベンチャー」で適切なのか、もっと他の呼び方はないか、と考えています。洸陽電機の乾社長に取材しながら、自分の中で整理ができたことがあります。それは「地域PPSの支援は、大企業よりもベンチャーや中小企業の方が向いているのではないか」ということです。自治体主導のPPSは必ずしも利益をためこむ必要がありません。それに10年、20年間と取り組みます。2、3先の利益を計算しないといけない大企業には向かい気がしました。とにかく電力ベンチャーと自治体・地域企業で新しいエコシステムができたらいいです。

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