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ビジネスチャンスがそこにある…ブリヂストンが「サーキュラー・エコノミー」の先駆者になる理由

「サーキュラー・エコノミーEXPO」初開催
ビジネスチャンスがそこにある…ブリヂストンが「サーキュラー・エコノミー」の先駆者になる理由

ブリヂストンGサステナビリティ統括部門の稲継明宏統括部門長

資源の有効利用と経済成長を両立する「サーキュラー・エコノミー」が経営課題に浮上している。旧来の「大量生産・大量消費」を続けると、資源枯渇などの問題に直面し、経済活動が維持できなくなるからだ。欧州を中心にその考え方は世界に広まっており、2050年のカーボンニュートラル達成に向けても不可欠な取り組みとされる。では、日本の製造業はどう取り組むべきか。

今月15日に東京ビッグサイト(東京都港区)で開幕する初開催の展示会「サーキュラー・エコノミーEXPO」で、先進企業としてセミナーに登壇するブリヂストンGサステナビリティ統括部門の稲継明宏統括部門長に、サーキュラー・エコノミーへの取り組み方やそれによって得られるメリットなどを聞いた。

サーキュラー・エコノミーEXPOの詳細・申込はこちら

-サーキュラー・エコノミーに先行して取り組まれる理由は。
 サーキュラー・エコノミーは資源を循環させる活動がベースですが、それを通じてビジネスモデルを変えていくという視点で取り組むべきものです。企業経営の持続可能性を確保するためのリスク回避という目的はもちろんありますが、私たちとしては、ビジネスや成長の機会につながると理解したからこそ取り組んでいます。

-具体的な取り組みの内容を教えてください。
 原材料使用量を削減するためのタイヤ自体の軽量化や、路面に接してすり減った部分を張り替えて再利用するリトレッド事業などに取り組んでいます。タイヤをそのライフサイクルを通じて最大限使い切る観点では、使用済タイヤからタイヤ素原料を製造する(ケミカルリサイクルの)技術開発にも、事業化を目指して挑戦しています。

私たちは30年に向けて再生資源や再生可能資源に由来する原材料の比率を40%に、50年には100%サステナブルマテリアル化という大きな目標を掲げています。21年時点では37%でした。この目標の目的や意義が理解され、社内が長期的な視点で比率の向上に向けた材料供給や材料開発に動き出しており、目標を掲げた効果を感じています。

100%サステナブルマテリアル化の考え方

-資源循環とビジネスは一見遠いようにも思います。御社はどのように考えてビジネスに落とし込まれたのでしょうか。
 原材料からタイヤを製造して流通させる「モノ」の流れだけを見て資源循環を考えていると、環境活動で終わってしまう気がします。そうではなく、モノの流れの中で生まれる顧客との接点や、そこで提供できる「バリュー」に目を向けました。そうすることで、メンテナンスやリトレッドといった事業機会が捉えられ、社内でもサーキュラー・エコノミービジネスモデルとして理解されるようになりました。

-一方、環境対策はコストの負荷になる側面がありそうです。
 従来の使って捨てる場合に比べ、再利用は追加コストが必要という捉え方はあると思います。ただ、将来に向けた投資とも考えられます。社会は確実にサステナビリティが重視される方に向かっていますから、先行してそうした市場に対応する技術を身に付けたり、ビジネスモデルを構築したりすることで、競争優位の獲得につながると考えています。また、エネルギーや重金属などの資源が限られている日本という国の立場を考えると、資源が循環しつつ、事業が成り立つ体制が整えば、資源の安定供給につながります。長期的な視点ですが、これも大きな戦略として進めていくべきです。

-今後の課題は。
 サーキュラー・エコノミーは1社だけでは取り組めません。お取引先様などにその価値を理解してもらい、投資してもらわなくてはなりませんので、マーケティング活動が重要になります。その前提としてサーキュラー・エコノミーというものをしっかり理解していただけるように伝えていく必要があります。

-そうした中で、サーキュラー・エコノミーEXPOが初めて開催されます。その意義をどう捉えていますか。
 日本においてサーキュラー・エコノミーの認知を広げるシンボル的なイベントになればと期待しています。多様な企業同士がサーキュラー・エコノミーによる価値を共創するきっかけになればと思いますし、ビジネスにつながればなおよいと思います。

-稲継さんはセミナーに登壇される予定ですが、どんなことを伝えたいですか。
 私たちがサーキュラー・エコノミーをどのように経営の中で位置づけて、どのように具現化しようとしているのか、実例を踏まえて紹介します。私たちの活動に興味を持っていただいたたり、他社が取り組む上での参考にしていただけるとよいですね。

サーキュラー・エコノミーEXPOは同時開催の「脱炭素経営EXPO」「スマートエネルギーWeek」を含め1200社の出展と5万人の来場を予定する。サーキュラーデザインやサステナブルマテリアル、資源回収・リサイクル・再製品化技術などが一堂に介す。また、ブリヂストンの稲継統括部門長のほか、行政関係者や大学教授らがサーキュラー・エコノミーに対する取り組みやその影響などをそれぞれ講演する。

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■サーキュラー・エコノミーEXPO
会期:2023年3月15日(水)-17日(金)
会場:東京ビッグサイト
主催:RX Japan 株式会社

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