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業績回復急ぐ大和証券グループ本社、重要業績評価指標「ROE」の改善策

大和証券グループ本社が業績回復を急いでいる。2023年度業績の重要業績評価指標(KPI)として経常利益2000億円以上、自己資本利益率(ROE)10%以上を掲げているが、22年度4―9月期は経常利益が前年同期比54・2%減の329億円、ROEが4・5%となった。市況低迷の影響を大きく受けた形だ。22年度下期は収益拡大とコスト削減により目標達成を目指す。

22年度上期は米国を中心とした株式市場の下落の影響を受け、リテール(個人)部門のフロー収益が落ち込んだ。一方で明るい材料は、投資信託や投資一任型の資産運用商品のファンドラップなどの資産管理に係る収入である残高ベース収益の拡大だ。リテール営業部門純収益に占める比率は51・7%となり、50%の大台を超えた。

けん引役はファンドラップで、契約額は1527億円、純増額は832億円となった。「国際分散投資でパフォーマンスが良好なラップが好調を維持している」(大和証券グループ本社)のが主な要因だ。

株式市場底入れでフロー収益が改善すれば、リテール部門の収益回復を見込む。残高ベース収益の着実な積み上げとコスト構造改革の効果も相まって、「四半期経常利益は100億円超え(22年7―9月期は61億円)の水準に回復し、その後も拡大させることは十分可能」(同)とみる。

ホールセール(法人)部門は、機関投資家や事業法人を対象にしたグローバル・マーケッツが4―9月期に経常赤字35億円を計上した。金利や為替の大幅な変動が逆風となった。今後は市場の変動に対する適切なポジション運営で「早期に400億円の収支改善を目指す」(同)姿勢だ。

株主還元政策の自社株買いはROE改善も狙っている。22年度は3300万株の枠を設定した。自社株買いのタイミングは株価純資産倍率(PBR)1倍割れの水準で機動的に実施する方針で、「現在の株価が割安というメッセージを発信し、アナウンスメント効果を狙う」(同)という。

日刊工業新聞 2023年01月12日

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