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「ハイブリッド車」は脱炭素に強い効果、トヨタの最高科学責任者の主張

「ハイブリッド車」は脱炭素に強い効果、トヨタの最高科学責任者の主張

HVに置き換えた方がCO2を削減できると強調するギル・プラットCSO

トヨタ自動車の最高科学責任者(CSO)でエグゼクティブフェローのギル・プラット氏は日刊工業新聞などの取材に応じ、電気自動車(EV)がカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)の唯一の手段とする議論から脱するべきだと主張した。資源不足でEVの生産量は限られるとし「ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の比率を高める方が二酸化炭素(CO2)削減効果がある」と述べた。

プラット氏は地政学リスクや需給逼迫(ひっぱく)で、電池材料のリチウムの価格が急騰していると指摘。「100台の内燃機関車のうち1台をEVに置き換えるより、同じ電池容量で作れる90台のHVに置き換えた方が30倍のCO2を削減できる」とのデータを示した。巨額の投資が必要な充電インフラや、再生可能エネルギーの不足など「整備には時間がかかる。現実を踏まえた議論をすべきだ」と強調した。スイスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で同様の説明をしたところ、聴衆の半数が賛同したという。

ただ世界の自動車メーカーは急速にEV化を進めている。プラット氏は「公にはしないが、多様性が大切だとの意見を持つ経営者もいる」と指摘。米カリフォルニア州や欧州などEVが適した地域もあるが「資源など多くの制約がある中、多様なパワートレーン(駆動装置)を持つ必要に追い込まれる。我々の考えは理解されるだろう」と話した。


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日刊工業新聞 2023年01月30日

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