「春節」旅行保険に新商品―損保、インバウンドに照準

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銀座で買い物をする外国観光客
大手損害保険各社が中国の大型連休「春節」を前に、旅行保険などのインバウンド需要に熱い視線を送る。減速懸念のある中国だが、2016年も観光需要は好調の見通し。損保各社は旅行保険に加え、多言語対応の各社サポート、事業者用にインバウンド関連の経営支援策を展開するなど多岐の取り組みで対応する。

 観光庁の調査によると、15年の訪日外国人観光客数は前年比47・1%増の約1973万人。内訳でみると、中国が約499万人と最多で、前年から約2倍も増えた。16年も春節前後の大型休暇(2月7―13日)を控え、各業界では早くもインバウンド対応が着々と進んでいる。
 
 一方、保険の点からみると事情が少し異なる。同庁によると、訪日外国人全体で保険未加入率は約30%にも上り、医療費未払いなどの問題が生じている。このため、旅行保険の普及も兼ねてインバウンド需要を取り込もうと大手損保が新商品を投入している。
 

団体ツアー狙う


 東京海上日動火災保険は中国の保険ブローカー江泰社と提携し、インターネットで加入できる旅行保険を15年12月に発売した。旅行会社側とのパイプが強い江泰社と連携し、団体ツアー客の需要を取り込む狙いだ。
 
 商品は滞在中にケガや病気になった場合、提携する全国800カ所以上の病院を紹介し、キャッシュレスで治療を受診できるサービスなど豊富なメニューをそろえた。東京海上は江泰社との提携で旅行保険全体の加入者数を初年度20万件、5年後には200万件への拡大を目指す。
 

5カ国語対応


 損保ジャパン日本興亜は旅行サイトを担う現地企業と連携し保険を販売している。15年6月に南京途牛科技と提携し、同年10月には会員数約2億5000万人を持つ最大手の携程旅行網とも組んだ。
 
 保険商品に加え、事故後の対応も強化。外国人からの自動車事故などの問い合わせに対し、英語や中国語を含む5カ国語で対応し、24時間365日体制で受け付ける。
 
 三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、ホテルなど宿泊施設側と契約を結び、外国人宿泊客が滞在中にケガをした場合の治療費などを補償する保険を1月から提供している。
 

経営支援策提案 


 三井住友海上ではインバウンド対応の経営支援策も独自に展開。経営サポートセンターを通じ、小売りなどのサービス業向けに、免税店の申請アドバイスなども講じている。
 
 外国人観光客は20年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、今後も中国だけでなく、豪州などアジア地域からの観光客はさらに増える見通しだ。中国を中心に拡大する保険や関連サービスの需要の確保に向け、損保各社の競争が激化していきそうだ。
(文=杉浦武士)

日刊工業新聞2016年2月4日金融面

COMMENT

栗下直也
デジタルメディア局
編集委員

動きあるところに保険会社ありの最たる例ですね。

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