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中小企業の私的整理で増えているスキームとは?

支援協議会の「抜本再生」案件、日本公庫の関与が4割まで高まる。 
 中小企業再生支援協議会が手がける抜本的な事業再生のうち、日本政策金融公庫が関与する割合が2015年度は4割に迫る見通しだ。14年度の25%から伸長しており、初めて3割を超える。政府は再生支援協議会を通じた事業再生を「量」から「質」を重視する方針に転換。貸出債権を劣後化するデット・デット・スワップ(DDS)の積極活用を促していることが背景にある。民間が出しにくい資金を政府系金融機関である日本公庫がDDSなどの形で対応するケースが増えている。

 日本公庫によると、15年度上半期に再生支援協議会が実施した抜本再生案件52件のうち、日本公庫の関与件数は19件(37%)。14年度は196件中、49件(25%)だった。再生計画は年度末にかけて策定が集中するため、関与比率はさらに高まるとみられる。

 再生支援協議会は、地域の実情に応じた中小企業の再生を後押しするため国が全国に設置しており、公正中立な立場で関係者間の調整を行う。

 13年3月末の中小企業金融円滑化法終了直後は、政府が掲げた再生計画の策定目標達成を急ぐため、3年間は債務の返済を猶予する代わりに収益改善に尽力する「暫定リスケ」と呼ばれる手法が事業再生の中心だった。こうした猶予期間もまもなく終わり、抜本再生へ移行する企業が今後、増えることが予想されている。

 ただ、民間金融機関は、債権放棄はもとより、新たな融資に慎重姿勢。結果、日本公庫が実施するDDSと民間取引行による長期の返済猶予といったスキームで、私的整理手続きに入る企業が増えている。
日刊工業新聞2016年2月10日4面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
どのような業種や企業で活用されているのだろう。中小企業も安易な延命は、銀行が貸し倒れしたくないだけのケースも多いと思ってしますが。

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