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曙ブレーキが投入、「CO2半減ブレーキパッド」の仕組み

曙ブレーキが投入、「CO2半減ブレーキパッド」の仕組み

曙ブレーキが開発した製造工程でCO2排出を半減するブレーキパッド

曙ブレーキ工業は、製造工程での二酸化炭素(CO2)排出量を従来比で半分に抑えるブレーキパットを、今夏にアフターマーケット向けに投入する。環境対応に加え、電気自動車(EV)対応やブレーキ摩耗粉の削減など性能面でも訴求する。アフターマーケットでの実績を積み上げながら、サプライチェーン(供給網)全体での脱炭素化に貢献できる点を完成車メーカー向けにも提案。新車への採用を目指す。

新材料や新工法の採用でCO2を多く排出する加熱工程をなくしたほか、製造工程の順序の入れ替えや統合で省エネルギーにつなげた。新工法は作業効率が良く、生産リードタイムも従来比で半減できる。製造時に生じる粉じん・臭気を減らせ、従業員の負担も軽減する。

車両重量が増加するEVへの搭載も想定した材料設計とした。車両重量が増えるに伴いブレーキにかかる負担が大きくなるので、熱劣化などしないよう性能を高めた。また欧州の規制に対応し、ブレーキ使用時に発生する摩耗粉も減らす。既存材より性能を向上し、アフターマーケットでの需要を喚起する。

現在は埼玉県羽生市の研究所にパイロットラインを設けており、順次、製造子会社の曙ブレーキ山形製造(山形県寒河江市)や海外の生産拠点で量産体制を整備する計画だ。

自動車業界では、車の製造から廃棄までライフサイクル全体でカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現を目指す動きが加速。同社は環境対応や、アフターマーケットでの市場実績をもとに「2―3年後の完成車メーカーへの採用を目指す」(宮地康弘社長)としている。


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日刊工業新聞 2023年01月24日

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