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エプソン、次期中計で年間の設備投資を大幅上積み

BツーB事業や生産自動化に投入、営業利益率10%目指す
 セイコーエプソンは2017年3月期から始める次期中期経営計画で、数値目標として営業利益率10%以上を掲げる方針だ。10カ年の長期ビジョンを定めた上で、前期、中期、後期の3カ年ごとに中計を進める。毎期の設備投資は700億円規模を確保。BツーB(企業間)領域の拡大や事業の多角化、生産自動化といった取り組みで収益力を強化する。

 次期中計の売り上げ目標は、まず前期最終の19年3月期に16年3月期見通し比約1000億円増の、1兆2000億円程度を視野に入れると見られる。

 また設備投資は、16年3月期の計画値を従来の400億円前後から700億円に大幅に引き上げたが、17年3月期以降もこの水準を維持する。新規事業領域での積極的な新製品の立ち上げや量産に加え、既存事業もさらなる販売拡大などを見込む。エプソンは収益拡大に向け、売り上げの約7割を占めるプリンター事業でBツーBシフトを加速。

 併せてロボットやウエアラブル機器など、事業の多角化を進めている。次期中計ではこれらの戦略を軸に、全ての事業で営業利益率10%を超えるような体質強化を目指す。

 16年3月期を最終とする現在の中計は、事業構造転換などが進展。15年3月期には営業利益、当期利益ともに過去最高を更新した。

 また今期は売上高1兆1000億円、営業利益910億円の見通しで、売上高9300億円、営業利益500億円の中計目標を上回って着地する見込み。財務体質の改善も進んだことから、次期中計では成長に向けた基盤を着実に固める方針だ。
日刊工業新聞2016年2月10日 電機・電子部品
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
かつてエプソンは液晶や半導体などボラティリティの高い事業で痛い目にあった。設備投資が増やすが中身はどうやら堅実なもの。使用済み用紙をオフィス内で新しい用紙に再生する製紙機など面白い新製品も多い。

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