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4K映像を幼児教育に応用。シャープと作新学院大学が“笑顔度”を探る

保育士不足を支援するソリューション販売へ
4K映像を幼児教育に応用。シャープと作新学院大学が“笑顔度”を探る

録画映像を幼児教育に応用する。生の朗読と同様の傾向が出る

 作新学院大学の春日正男特任教授らとシャープは、フルハイビジョン(FHD)の4倍の解像度を持つ「4K」に対応したカメラを活用し、高精細の録画映像を幼児教育に応用する可能性を見いだした。絵本の読み聞かせに関する映像が、実際の読み聞かせとほぼ同様の効果を持つことを実証した。シャープは2016年度にも簡易で安価なシステムを確立し、ソリューションの販売を目指す。

 保育士らが不足する中、臨場感のある4K映像で教育現場を支援できそうだ。春日特任教授らは作新学院大の女子短期大学部幼児教育科、シャープとともに、作新学院幼稚園(宇都宮市)の4―5歳児の23人を対象に研究。2グループに分けて、それぞれ生と録画の読み聞かせを計6日間行った。

 シャープが持つ画像認識技術では、笑顔の度合いや顔の上下左右の動き、傾きなどが判別できる。研究では、一般的絵本「ねずみのでんしゃ」を教諭が読み聞かせる録画映像を流した。この結果、導入部の「手遊び」の映像を見た集団の「笑顔度」の変化と、本編の物語に見入る各園児の笑顔度の変化について、それぞれ生の朗読の場合と同じ傾向が確認できた。

 どの程度笑うか、笑わないかといった笑顔度などを測れば、園児の集中度や集団の散漫(ざわつき)度がつかめ、学習内容への理解が判断できるという。今後は結果を解析して顔の表情なども調べつつ、心理状態や学習効果の詳細を探る。調査対象数を増やし、教育現場への展開を検討する。

 録画は4Kビデオカメラで撮影し、FHDの2K液晶ディスプレーにより実物大で表示した。録画と朗読の双方への園児の反応を探るため、観測用の4Kビデオカメラを用意した。4Kは情報量が多く、顔の変化や集団の反応が認識しやすい。

 経営再建中のシャープはかつて、世界初の液晶一体型カメラ「液晶ビューカム」を商品化し、携帯電話へのカメラ搭載などで実績がある。

 4K解像度の監視向け画像センサーやカメラなども生産・販売しており、「研究成果は高精度な画像処理を含むシステムに今後反映させる」(電子デバイスカンパニー)と話している。
日刊工業新聞2016年2月9日電機面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
シャープ地道に頑張っています

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