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物価高・人手不足…3年ぶり増加の企業倒産、「今後も増加局面」の理由

物価高・人手不足…3年ぶり増加の企業倒産、「今後も増加局面」の理由

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2022年の企業倒産は3年ぶりに増加した。帝国データバンク(TDB)のまとめでは、前年比6・0%増の6376件で、東京商工リサーチ(TSR)が同6・6%増の6428件だった。コロナ禍に加えて物価高や過剰債務、人手不足といった経営環境の悪化で事業継続をあきらめる中小企業の増加が背景にあるようだ。

TDBによると、負債総額は同2・0倍の2兆3723億8000万円と5年ぶりに2兆円台を記録した。マレリホールディングスの法的整理など大型案件が負債総額を押し上げた。

TDBによれば、業種別では、小売業を除く全業種で前年を上回った。サービス業は同12・4%増の1601件で、5年ぶりに100以上の増加となった。資材価格の高騰が続いた建設業は同12・9%増の1204件で、14年ぶり増加となった。運輸・通信業も同22・8%増の334件と悪化した。TSRによると、新型コロナウイルス関連倒産は同36・7%増の2290件だった。

22年12月の倒産件数は、TDBが前年同月比18・2%増の592件で、8カ月連続で前年同月比増加。TSRは同20・23%増の606件で9カ月連続で前年同月を上回った。

23年の見通しについてTSRは「物価高倒産は運輸業や製造業だけでなく農林・漁・鉱業など幅広い産業に影響の波及が懸念される」とした。TDBは「予想される賃上げの動きに取り残されかねない中小企業の動向に注視が必要。23年の企業倒産は緩やかな増加局面が当面続きそうだ」と予想する。
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日刊工業新聞 2023年01月16日

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