「(ビッグデータで)新サービスの開発急ぐ」(東電社長)

広瀬社長が語る自由化後。消費者に選ばれるポイントは価格だけではない

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広瀬社長
 東京電力の広瀬直己社長は日刊工業新聞のインタビューで、4月の電力小売り全面自由化後をにらみ、顧客の電力使用量に関するビッグデータを活用する高付加価値サービスの開発を急ぐ考えを示した。電力系統の運用管理にもモノのインターネット(IoT)やビッグデータを利用して効率化を図る方針を表明。こうした知見がなければ海外で発電や送配電関連の事業を展開する際に「単体では中国に勝てなくなる」との認識を示した。

 全面自由化後をにらみ、新規参入企業を交えた価格競争が激化していることについて広瀬社長は「(消費者に選ばれるためのポイントは)価格だけではない」と指摘。差別化策の具体例として、節電・省エネルギーを後押しすることで、電気料金の引き下げと同じ効果を顧客に提供できるとの認識を示した。

 その上で無理せず節電する方法として、スマートメーター(通信機能付き電力量計)のデータを使って電力使用を最適化する仕組みづくりを目指す考えを表明。さらにこれらのデータには「計り知れない価値がある」と述べ、膨大なデータを分析・活用して消費者の生活に新しい価値を提供するサービスの創出に意欲を示した。

 同社は以前から顧客関連のビッグデータに着目し、活用策の検討を進めていたが、東日本大震災以降は作業が滞っていた。全面自由化後の競争激化や、人口減少などに伴うエネルギー需要の先細りをにらみ、新しい市場の創造に向けた取り組みを加速する方針だ。

 また広瀬社長はIoTなども活用し、発電所を含む電力系統の運用管理や保守・点検業務を効率化する考えも示した。「365日・24時間流れる電気のデータを分析して利用すれば、問題の発生を予測して修繕費を節減できる」と指摘。国内最大の電力供給事業者としての知見も生かし、こうした仕組みを発電所建設や送配電網整備・運用といった海外事業に応用。低コストで攻勢をかける中国勢に対抗する考えだ。

日刊工業新聞2016年2月8日エネルギー面

COMMENT

IoT (Internet of Things)、 AI(人工知能)、ロボット、ビッグデータに関連する技術は、現実空間に存在する様々なものをつなげ、多様かつ膨大なデータを収集して仮想空間の上に蓄積して分析し、その結果を現実社会にフィードバックすることで、従来にない新たな付加価値を生み出す。そのインパクトは極めて大きく、これまでにないモノ・サービスを創生し、雇用や働き方をはじめとする社会の在り方まで劇的に変える。エネルギー業界にフォーカスすると、エネルギー・バリュー・チェーンの最適化を図ることで、第4次産業革命(Industrie 4.0)の動きに呼応することになる。技術力、人材等豊富な東電は、経済社会が大きく転換する「大変革時代」の到来に備え、「ビッグデータ・IoT活用の新サービス開発」を急ぐという。エネルギー業界のライバルの戦略は如何?。

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