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中堅・中小に悪影響もたらすエネルギー・素材の高騰、価格転嫁はどこまで進んだ?

米国の調査会社ユーラシア・グループによると、2023年の世界の「10大リスク」の1位は「ならず者国家ロシア」だという。不安定な国際情勢は日本経済の先行きにも影を落としている。日刊工業新聞社の調査によると中堅・中小企業のおよそ5割がエネルギー・素材の高騰が業績に大きく悪影響をもたらすと回答している。23年も難しいかじ取りを迫られそうだ。

中堅・中小企業経営者100人を対象に22年11―12月に実施したアンケートでは、23年上期(1―6月)の国内景気について「足踏み」とした回答が最も多く、全体の40%を占めた。次に多かったのが「緩やかに拡大」で35%となった。23年下期(7―12月)については「緩やかに拡大」が57%、「足踏み」が31%で、先行きに期待感を持つ経営者は多いようだ。とはいえ、設備投資計画に関しては「変わらない」が52%、「増やす」は34%にとどまるなど、決して慎重な姿勢を崩していないことも分かる。

中堅・中小企業にとって今後を左右する大きな要因の一つは、エネルギー・素材の高騰を受けた価格転嫁の進捗(しんちょく)だ。アンケートでは、取引先に対する自社の製品・サービスの値上げ(価格転嫁)の状況について「多少進んだ」との回答は75%だった。進捗はあったようだが「十分進んだ」との回答はわずか4%。今後の価格交渉の行方が業績を左右することになりそうだ。取引適正化に向けた一層の政策的支援も待たれる。

エネルギー供給問題の改善策(複数回答)としては「安全を確保した上での原子力発電所の再稼働」が最も多く、「再生可能エネルギーの拡大」が続いた。再生エネの利用拡大や新エネルギーの実用化が新たな事業機会をもたらすと見ている中堅・中小企業の経営者も多い。23年は風力発電や水力発電、バイオマス発電、あるいは水素の利活用といった分野に進出する中堅・中小の動きが一層活発化しそうだ。


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日刊工業新聞 2023年01月06日

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