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数学のトポロジー原理応用、東北大が2.38GHz帯の新型音響導波路を開発した意義

数学のトポロジー原理応用、東北大が2.38GHz帯の新型音響導波路を開発した意義

左から表面弾性波を入射すると微細パターンの境界に流れるイメージ(東北大提供)

東北大学の新居陽一准教授と小野瀬佳文教授は、トポロジーを応用し2・38ギガヘルツ(ギガは10億)帯の音波の導波路を開発した。物質表面にナノサイズ(ナノは10億分の1)の凸凹パターンを形成し、表面を伝わる波を制御する。従来はキロヘルツの低周波数帯で研究されてきたが、電子部品の表面弾性波デバイスの周波数帯に活用する道を開いた。

圧電体の表面に金属の微細パターンを形成した。数百ナノメートルの柱状構造を六角形のメッシュ状に並べる。このパターンと反転させたパターンを形成し、表面弾性波を入射すると、パターン同士の境界に沿って2・38ギガヘルツの波が伝わっていた。

この設計にトポロジーを活用した。周波数帯はこれまでの研究の中で最も高く、表面弾性波デバイスと親和性がある。トポロジカル音響導波路はエネルギー散逸を小さくできるため、省エネルギーなデバイスになる。

表面弾性波デバイスは特定の信号を取り出す周波数フィルターとして活用されている。消費電力が大きいことが課題だった。

日刊工業新聞 2023年01月05日

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