「建設機械」縮む中国市場、工場余剰どうする?
2022年は建設機械需要が世界的に活況を呈した中、中国とロシア市場は低調だった。22年4―9月期のコマツの建機・車両部門の地域別売上高は、北米が前年同期比45・3%増の3809億円だったのに対し、中国は同21・8%減の392億円と約10分の1の規模だ。中国は新型コロナウイルス感染者を一時的に抑え込んだ20年の過剰発注と過剰在庫、不動産市況の冷え込みなどの要因が重なり、悪循環構造から脱し切れていない。建機稼働率も低く「23年も中国の落ち込みは続くだろう」とコマツの小川啓之社長は見通す。
コマツの同部門の総売上高に占める中国比率は3%。日立建機も同様に3%だ。ただ中国市場は、リーマン・ショック後の10年代に世界建機需要の5割弱を占めた「経緯」がある。両社をはじめコベルコ建機なども中国工場の建設にまい進、22年はその後始末に追われた1年でもあった。
コベルコ建機は6月に、四川省成都市と浙江省杭州市にある2工場のうち杭州工場を閉鎖し、生産能力を年1万500台から5500台にほぼ半減する計画を打ち出した。住友建機も中国依存からの脱却を進める。売上高の中国比率は21年度の29%から22年度は10%弱に下がる見通しだ。
売上高の中国比率が下がっても、もともと中国工場の生産能力が高いため、各社とも生産能力は余剰状態だ。この余剰能力をいかに活用するかが次のテーマになる。コマツは中国工場製の建機を、インドネシアや中南米に輸出し始めた。日立建機はレンタル向けに生産している中小型建機の生産の一部を、日本国内から中国に振り向けることで、日本国内工場の米州向け増産能力を確保する取り組みを進める。米州市場の伸びが続く一方、地政学的問題もあり、中国からは建機を輸出しにくい事情も絡む。
中国から欧米に輸出しにくいのは他社も同じだが、他方で中国には鋼材価格の安さ、優れた部品モジュール生産能力などの強みがある。この強みを世界戦略の中でどう生かすかが23年も課題になりそうだ。
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