上海モーターショーで、日系メーカーが相次ぎ現地仕様モデルを投入宣言する理由

対欧州で劣勢。ゴーン日産社長「中国の若者向け開発したモデルは初めてだ!」

  • 0
  • 0
日産が現地で開発した「ラニア」
 【上海=池田勝敏】日本車各社が中国での現地開発モデルを相次いで投入する。日産自動車は現地スタッフが中心となって開発した中型セダンを今秋に発売し、ホンダも現地主導でデザインするスポーツ多目的車(SUV)を投入する計画だ。トヨタ自動車はハイブリッド車(HV)の現地開発モデルを今秋に売り出す。現地のニーズを捉えて欧州メーカーに対し劣勢となっている現状を打開したい考え。

 「中国の若者向けにデザイン・開発したモデルは日産としては初めてだ」。カルロス・ゴーン社長は、開幕中の「上海国際モーターショー」で初公開した中型セダン「ラニア」への思い入れを強調した。日産によれば、80―90年代生まれの若年世代が中国の顧客層の半分を占める。「一から現地で開発した」(関潤専務執行役員)というラニアは、市場の主役となる現地若手デザイナーが中心となってデザインした。ホンダが同モーターショーで公開したSUVのコンセプトモデルも、量産開発は日本が担うがデザインは中国が主導する。

 「日本車は総じてデザインが受け入れられていない」と調査会社フォーイン中国調査部の平野孝治氏と指摘する。競争が激しさを増す中国市場で日本勢のシェアが低下傾向にあるのはデザインの弱さにあるのが一因と見る。中国では斬新さや個性を打ち出すデザインが好まれるとされる。日産やホンダはデザインの現地化で好みを的確に捉えたい考えだ。

 一方、トヨタが今秋に発売する「カローラ」「レビン」のHVは中国で開発を主導した。中国ではアクセルやブレーキペダルを踏んだ後の応答の速さが好まれるが、こうした現地特有の嗜好(しこう)に合わせた乗り味を追求したという。高度4000メートル以上の高地や北部の極寒地帯など国土の広い中国の過酷な環境で多くの試験も重ねた。

 「一つひとつの困難を乗り越えながら開発した。プリウスに匹敵するイノベーションだ」と初代HV「プリウス」の開発者、内山田竹志会長の思い入れは強い。ニーズを迅速に捉えた商品を投入するために、各社の開発現地化が加速している。


<関連記事>
【上海=池田勝敏】ホンダは2015年の中国販売を前年比2割増の95万台とする計画を明らかにした。小型スポーツ多目的車(SUV)などで販売を伸ばす。開幕中の「上海国際モーターショー」で倉石誠司中国本部長が明らかにした。足元の販売競争については「中型セダンが厳しく競合の値下げに多少応戦せざるを得ない」(倉石本部長)との認識も示した。

 「ヴェゼル」など小型SUVが好調で、15年1―3月期は前年同月比約4割と好調に推移。一部改良したSUV「CR―V」や7月にも発売する小型車「シティ」などで攻勢をかける。地方でサービス網を100店舗増やして体制も整える。
 倉石本部長は今年の中国市場は「国内総生産(GDP)と同じ7%前後の伸びになるのでは」との認識を示した。

日刊工業新聞2015年04月22日 自動車面

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

景気減速から中国の自動車販売は伸びが鈍化しており、日米欧、現地メーカー入り乱れた市場の競争は激しさを増すばかり。素材から現地化を進めるメーカーもあれば、デザインを訴求するなど、あらゆる面で「中国車」への取り組みを強化している。派手なコンパニオンは表舞台から消えたが、各メーカーの地道な開発競争が水面下で続いている。

関連する記事はこちら

特集