安川電機新社長、小川昌寛さんってどんな人?
安川電機は2023年3月1日付で、小川昌寛代表取締役専務執行役員(58)が社長に昇格する。小笠原浩会長兼社長(67)は代表権のある会長に就く。小笠原氏は16年の就任から7年目を迎えることから若返りを図り、23年度から始動する新中期経営計画を新体制で推し進めることにした。
次期社長に内定した小川氏は就任に当たり「107年の長きにわたり当社が継続してきた技術の財産を発展させる。グローバル企業としての新たな施策も打ち出す」と意気込んだ。
小笠原会長兼社長は小川氏を「議論ができる熱い男」と評す。「話し合いながら、時に対立しながらも突っ走る似た者同士だ」と信頼を寄せる。ロボット事業の成長期から同事業をけん引する存在として知られ、地元経済界からも早くから次期社長の有力候補と呼び声が高かった。
安川電機は生産現場の自動化コンセプト「アイキューブメカトロニクス」や、独自のデジタル変革(DX)「YDX」を進めている。小川氏には急速に進む生産現場のデジタル化への対応力が求められるが、「人がいる限り自動化の要求がある。製造やサービスなど当社の『未踏の世界』はすさまじく広大で、無限の可能性がある。市場ニーズを技術で解決し、成長と収益を頑強にする」と熱く決意を語った。
【略歴】小川昌寛氏 87年(昭62)九州芸術工科大(現九州大)芸術工卒、同年安川電機製作所(現安川電機)入社。10年米国安川会長、12年安川電機執行役員、19年取締役、20年取締役常務執行役員、22年代表取締役専務執行役員。福岡県出身。
素顔/けん引力と情熱併せ持つ
就職活動を控えた大学4年時、“世界一のロボットメーカー”と紹介された新聞記事を偶然見かけ面接試験を受けたことが今日に至るきっかけ。入社以来、ロボット事業を長く歩み、早期から米国駐在を経験。「世界から見た日本」や「グローバルとは何か」を体感する出来事になった。
社長就任の正式な打診を受けたのは、11月中旬のこと。小川氏は「今までにあった打診とはレベルが異なる。かなりの覚悟を持たされた一瞬だった」と振り返る。小笠原浩会長兼社長は「当社が向いている方向へリードするパワーを一番持っている。意外にも熱い性格」と太鼓判を押す。
係長クラスで一任されたホンダとの一大プロジェクトが印象深い思い出。覚悟を決めて臨んだ結果、成功を収め、今の自身を形作る一つの転機になった。
米国駐在時には家族でのキャンプにはまっていた。日本でも実現したいと夢見る。(増重直樹)