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アジアでも管理職の給与が低い日本。優秀な人材獲得で後れ

 アジアの主要国・地域の中で日本の管理職の給与が低い傾向にある。英人材紹介会社ヘイズの調べでは、製薬業界の研究開発部長職で、中国と香港は年収4000万―5000万円台に対し、日本は3000万円にとどまった。ジェイエイシーリクルートメント(JAC)の調べでも、シンガポールやインドネシアにおいて、他の外資系企業の経理部長職と比べて、日系企業の方が2―3割低かった。良い人材を獲得するには給与の引き上げが必要となりそうだ。

 ヘイズの調べでは、製薬業界の研究開発部長職の年収は中国で5400万円、香港で4500万円と、日本より5―8割高かった。IT業界の最高情報責任者(CIO)職では、香港が5300万円、中国が3600万円に対し、日本は2500万円だった。

 JACの調べでは、シンガポールにおける外資系企業の経理部長職の年収は15万シンガポールドル(約1245万円)に対し、日系企業は12万シンガポールドル(約990万円)と2割低かった。同じ職種でインドネシアでは他の外資系企業と比べ、日系企業の年収は3割低かった。

 ヘイズによると、中国や香港で転職の理由を聞くと、給与を挙げる声が最も多いという。一方、日本では「給与よりも新たな挑戦を求めて転職する声が多い」(マーク・ブラジ氏)。

 このため、日本企業は給与よりもやりがいを与えることを重視しがちだが「成果に応じて給与を引き上げなければ、優秀な人材は獲得できない」(同)と指摘している。
(文=大城麻木乃)
日刊工業新聞2016年2月5日 国際面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
本当の意味で「人材こそ会社の資産」という意識と制度が追いついていないからだろう。管理職に限った話ではない。

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